山中市長、バチカン市国・ローマ教皇庁主催の国際会議に出席。横浜の脱炭素を世界に発信
- On 2024年5月24日
2024年5月15日から5月16日にかけて、横浜市の山中竹春市長(以下、山中市長)がバチカン市国およびイタリアを訪問しました。この訪問は、横浜市の脱炭素施策のさらなる推進と、海外諸都市や国際機関との連携強化を目的としています。
15日はイタリア・ローマに本部を置く国連の食料関連3機関、FAO(国連食糧農業機関)、IFAD(国際農業開発基金)、WFP(国連世界食糧計画)を訪問してトップ会談を行い、世界の食糧・農業問題に対する横浜の貢献について議論するとともに、今後横浜で開催予定の第9回アフリカ開発会議(TICAD9)及び「GREEN×EXPO 2027」の成功に向けて協力していくことを確認しました。
また、16日にはバチカン市国ローマ教皇庁が主催する国際会議「From Climate Crisis to Climate Resilience」に出席し、横浜市の気候変動への取り組みの現状や進捗を共有しました。当日は、横浜市の脱炭素行動の成果と展望について、市民、企業、海外他都市との連携という三つの視点から紹介がありました。
まず、市民とのパートナーシップについては「ヨコハマG30プラン」の成果が共有されました。同計画について、山中市長は「複雑化した分別方法を正しく適用できた背景には、市内のボランティアを中心とする市民のエンパワーメントがあります。横浜市には2800を超える自治会町内会が存在しています。(中略)住民に新たな分別方法を周知するため、横浜市ではそれらのボランティアと協力して、15,000回にのぼるワークショップ(説明会)を開催しました」と述べ、大都市・横浜の市民力の高さに触れました。加えて、現在は2024年に策定した「ヨコハマ プラ5.3(ごみ)計画」を通じて、プラスチックごみの分別を強化し、さらなるCO2排出量の削減を目指している点にも言及しました。
次に、企業とのパートナーシップについては、環境省の脱炭素先行地域に選定されているみなとみらい21地区の取り組みが紹介されました。また、山中市長は横浜市全域のCO2排出量のうち70%は企業活動由来である点と、横浜の企業の99%が中小企業であり、そのうち60%の中小企業が具体的な気候変動対策を行っていないという事実に触れ、「具体的な気候変動対策を行う中小企業の割合を今後2年間で40%から60%に引き上げることを目標としており、20%の増加を達成するためには14,000社の協力が必要」と述べ、中小企業の脱炭素化の重要性を強調しました。
三点目の国外都市とのパートナーシップについては、アジア他都市との協働事例が紹介されました。横浜市は過去10年以上にわたりアジアの都市とパートナーシップを構築しており、例えばフィリピンのセブ都市圏マンダウエ市では、市内企業とともにごみの分別とリサイクル率向上のための支援により年間4,500トン以上のごみ削減と約3,000トンのCO2排出削減を達成しています。また、2023年11月には「アジア・スマートシティ会議」を横浜で開催し、アジア全域から44都市の代表者が集まり、脱炭素化に向けた宣言も行っています。
最後に、山中市長は今後の展望として2024年6月にバンコクで開催される横浜市とバンコク市の共催による気候変動ワークショップ、2027年に横浜で開催される脱炭素化社会に向けた多様なソリューションを展示する世界博覧会『GREEN×EXPO 2027』に触れた上で、「横浜では引き続き全世界の人々の幸福を実現するため、脱炭素化社会の実現をアジアからリードしてまいります」と締めくくり、アジア圏から登壇した唯一の首長としてアジア諸国間の連携を通じた脱炭素社会の実現を目指す意欲を示しました。
バチカン市国滞在中にはローマ教皇と山中市長との直接対面が実現したほか、脱炭素分野で世界をリードする先進都市の首長らとも意見交換を行い、世界の脱炭素化推進への貢献の必要性を再確認しました。
今回の山中市長によるバチカン訪問は、人口約370万人を抱える横浜市ならではの市民、企業、海外都市と連携した大都市型脱炭素モデルを広く世界に発信する貴重な機会となりました。今後、三年後に控える「GREEN×EXPO 2027」に向けて市内のさらなる脱炭素化に期待がかかります。
【参照記事】From Climate Crisis to Climate Resilience
A 3-day Joint PAS and PASS Summit for bending the curve and bouncing back
【参照記事】横浜G30プラン
【参照記事】ヨコハマ プラ5.3(ごみ)計画(横浜市一般廃棄物処理基本計画)
【参照記事】5月16日(木曜日)ローマ教皇庁主催の気候変動をテーマとした国際会議に出席しました