横浜市、東京大学、富士通が「ウィズコロナ時代の社会課題をデータ活用と公民連携によって解決するための連携協定」を締結
- On 2020年9月25日
2020年9月17日、横浜市(市長 林文子)、国立大学法人東京大学(総長 五神真)、富士通株式会社(本社 東京都港区、代表取締役社長 時田隆仁)は、「ウィズコロナ時代の社会課題をデータ活用と公民連携によって解決するための連携協定」(以下、本協定)を締結しました。
本協定は、相互に連携・協力するなかで、官民のデータを活用をしながらウィズコロナ時代の社会課題を解決すると共に、市民目線による新しい生活様式やビジネスモデルを創発することを目的としています。少子高齢化による人口減少や東京都の経済格差、想定外の災害への対策強化など、横浜市が抱えている既存の社会課題に加え、コロナ禍により深刻化している単身高齢者の社会的孤立や地域ボランティアの機能不全、生活サービス産業への経済的打撃といった新たな社会課題に対して、地域経済を持続可能な形で活性化することを目指します。
本協定の内容
横浜市と東京大学大澤幸生教授は、計算科学研究に基づいて、個人が家にとじこもる”Stay Home”から人々が確かめ合いながら繋がる”Stay with Your Community”という暮らし方に移行してゆく働き方を提唱しており、本協定の締結によって、3者間のデータ連成による未来地域社会の価値化というビジョンを共有しながら、ウィズコロナ時代の社会課題の解決に寄与する新しい生活様式やビジネスモデルを協働で創発します。
- 社会課題を解決し、新しい生活様式やビジネスモデルを創発するための手法の活用・普及
東京大学大澤研が開発した「IMDJ」を活用したワークショップを実施し、市民目線による新しい生活様式やビジネスモデルの創発を目指します。 - 社会課題を解決し、新しい生活様式やビジネスモデルを創発するための共創のプラットフォ ームやコミュニティの形成
横浜市が構築した「共創ラボ」や「リビングラボ」(*1)、データ活用型ワークショップ「IMDJ」をコアとし、株式会社富士通研究所(本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 原裕貴)が開発中のイベント連動型マッチングサービス(*2)などを用いて形成を進めます。 - プラットフォームやコミュニティの運営を支える安全・安心な通信交流環境の構築
富士通が DFFT(*3)を支える技術として開発中のデータ流通基盤などを活用し、住民と地域企業、自治体が安全・安心な環境のもとで情報を共有できる新たなビジネスモデルの構築を目指します。
サーキュラー・エコノミーPlusについて
サーキュラー・エコノミー(以下、CE)は、従来の「作って、使って、捨てる」というリニア(直線)型経済システムのなかで活用されることなく廃棄されていた製品や原材料を「資源」と捉え有効活用する循環型経済の仕組みを指します。さらに、作った製品の寿命延伸を図ることで、モノの価値を減らすことなく永続的に再生・再利用させる、環境させと経済循環を長期的に両立させる新しい経済活動です。
オランダ、アムステルダムから広がったCEに概念は、ヨーロッパにおいてSDGsの浸透と共に急速に発展しており、すでにCEが経済成長政策の中心に据えられています。
それに対し横浜市では、市内各地のリビングラボが中心となって、資源や製品の循環構築に加えて、「ひと」と「まち」の持続可能性とエンパワーメントにも着目し、それらを総合的にプロモーションする社会経済モデルを「サーキュラー・エコノミーplus」として提唱しています。これまでにも、公民対話を通じて具体的な公民連携事業を創出する実験的活動の場「共創ラボ」を繰り返し実施するなど、サーキュラー・エコノミーPlusの概念にのっとってさまざまな市民のイノベーションシンキングを支援してきました。そして昨今のコロナ禍による喫緊の諸課題解決に向け、公民連携で「誰一人として取り残さない持続可能な未来」を目指す活動を行っています。
【注釈】
(*1)
共創ラボ:横浜市が提供する共創・オープンイノベーション推進の新たな仕組みです。特定 の社会的課題の解決に向け、多様な主体が参画した公民対話を通じて、具体的な公民連携事 業を創出する実験的活動の場となっています。
リビングラボ:身近な地域の課題をテーマとして、住民を中心に様々な知見を有する企業、大学等と連携して課題解決のための対話を行う場です。参加者の現状認識の共有化のため、官民データを活用して課題の可視化を進めながら、自由にアイデアを出し合うことで、新たな解 決策を見出していくことが期待されています。現在、横浜市内では、15か所以上でエリアの 名を関したリビングラボの取組が介護や教育など様々なテーマのもと、活動しています。
(*2)イベント連動型マッチングサービス:オープンイノベーションなどのイベント参加者をリ アルタイムに結びつけ、具体的な目的を実現するためのチームを生み出すデジタルサービス です。具体的には、イベントの参加者が入力した自己紹介文から興味やスキルを表すキーワ ードを AIが自動抽出し「タグ」として登録することで、参加者の興味やスキルに沿った適切 なパートナー候補をアプリ上で紹介します。これにより、イベントの時間内にマッチングか らチーム形成までを迅速に実施し、その後のチームでの活動へスムーズに発展可能です。
(*3)DFFT:Data Free Flow with Trust (信頼性ある自由なデータ流通)の略。プライバシーやセキュリティ・知的財産権に関する信頼を確保しながら、ビジネスや社会課題の解決に有益なデータが国境を意識することなく自由に行き来する、国際的に自由なデータ流通の促進を目指す、という日本政府のコンセプトです。(出典:「デジタル時代の新たな IT 政策大綱」)
【関連サイト】東京大学大澤研究室
【関連サイト】#おたがいハマ
【関連サイト】一般社団法人YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス
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【参照記事】サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは・意味