めぐる星天「本トーーク!」#4を 開催しました【イベントレポート】
- On 2024年11月5日
Circular Yokohamaが運営する「めぐる星天文庫」は、誰かが読まなくなった本を、次の誰かへバトンタッチして読んでもらうための地域のシェア本棚です。活動拠点「qlaytion gallery」のある、星天エリア(横浜市保土ヶ谷区、星川・天王町周辺エリア)では、この取り組みを加速させるべく、同じく本をテーマに活動する方々とのコラボレーションにも力を入れています。
2024年7月20日には、「めぐる星天『本トーーク!』#4 〜絵本を通して夢や希望を届ける〜」を開催し、当日は15名の参加者とともに「本がきっかけのお喋り=本トーク」を楽しみました。
さらに同日、星天qlayのエリアブランディングを担当するYADOKARI株式会社の協力のもと、めぐる星天文庫を星天qlay内の4か所に設置する回遊企画「出張!めぐる星天文庫」を実施。本の設置には、ブリキボックスや体育館の床材で作られたブックエンドなど、什器にもリユースやアップサイクル製品を使用しました。
本イベントレポートは、本トーークを共催する「“本がある場所“をつくりたいラジオパーソナリティー」日置ノリオさんに寄稿していただきました。本記事では、イベント当日の様子をレポートします。
書き手:日置ノリオさん(”本がある場所”をつくりたいラジオパーソナリティー)
FMサルース、毎週金曜22:00~22:30放送「Another Scenery 〜はたらく人の旅するラジオ〜」企画・メインパーソナリティー。2022年に新卒から勤めた大手人材企業を退職し、現在フリーランス。愛読書は星野源『いのちの車窓から』、生涯のバイブルは『モモ』。
めぐる星天「本トーーク!」とは?
読書が好きな人も苦手な人も、「本がきっかけのお喋り=本トーク」はできるのでは?と思い、始めた本のトークイベント。参加者同士で本にまつわるトークテーマを元に対話や学びを楽しんでもらうことを目指しています。相鉄線の星川駅〜天王町駅の高架下施設「星天qlay」を中心に、横浜エリアの”本をめぐる人たち”と一緒に企画・運営をします。
テーマは、「絵本を通して夢や希望を届ける」
めぐる星天『本トーーク!』第4回目となる今回のテーマは、「絵本を通して夢や希望を届ける」です。
星天qlayにも店舗を持つタリーズコーヒーでは、毎年絵本作家の発掘や支援を目的とした「タリーズピクチャーブックアワード」を開催しています。“子どもたちや青少年の成長を促すために、夢や目標のお手伝いをする”という経営理念に基づき、読者である子どもたちへ夢や希望を届けたいという思いで行われているプロジェクトです。
タリーズコーヒー 星天qlay店 店長の浜中 智美(はまなか ともみ)さんをゲストにお迎えして、絵本の魅力や、店づくりや場づくりについてお話を伺いました。
当日は、タリーズコーヒーおすすめのブレンドを2種類ご用意いただきました。猛暑日の中、参加者の皆さんとアイスコーヒーで喉を潤しながらパネルトークがスタートしました。
「実はもともとコーヒーが飲めなかったんです」と打ち明ける浜中さん。学校の近くのタリーズに寄っては紅茶系のドリンクをいつも飲んでいたそうです。当時、不動産業に興味があった浜中さんは、企業説明会で感銘を受けたことをきっかけにタリーズコーヒーへ入社しました。タリーズはお客様との距離が近いのが特徴で、プライベートなお話をしたり、名前を覚えて店員の顔を見に来てくれたりする常連さんもいらっしゃるとのことです。
本は読む期間と読まない期間があるという浜中さんは、一冊買ったら近くのカフェで読み切って帰る!というのをルーティンにしているとか。
また、絵本を集めるのもお好きとのこと。子どもの頃の思い出を思い出したり、友人や親戚の子にプレゼントしたりしているそうです。絵本の魅力は、文字だけでなく絵でも伝わり想像することで心が豊かになること、大人になっても色んな視点で楽しめたり感情移入できたりすることだと浜中さんは語ります。
子どもたちへ夢や希望を届ける「ピクチャーブックアワード」
ピクチャーブックアワードが立ち上がる前は、「コーヒー×小説」「コーヒー×音楽」など他の候補もあったそうです。「絵本」が題材になった理由は、タリーズが子どもの成長に関わっていきたいと考えていたからです。読み聞かせてもらったり一緒にお喋りをしたり、親御さんとの温もりを伝えられる場所にしたい、という想いから実現しました。
タリーズでは店舗ごとに、キッズイベントでスタッフが子どもに読み聞かせをしたり、一緒に遊んだりするイベントも開催しています。スタッフは子育て経験者や、これから教育の道に進むアルバイトなど多種多様なメンバーです。駅近にこだわらず地域の方々と交流がしやすい場所に出店することも多く、地域ぐるみで子育てに貢献したいと考えているそうです。
星天qlay店の客層は幅広く、親子連れや出勤前後に立ち寄るビジネスパーソン、一人で通ってくれる小学生もいるのだとか。また年配の方は好奇心が旺盛で、コーヒーだけでなく色んな種類のドリンクをオーダーされるそうです。並べられている絵本はお孫さんのプレゼントとして買われることもあり、そこから生まれるコミュニケーションもあります。
後半は会場の参加者からの声も交えながらトークを行いました。年配の方の中には、子どもの頃は戦時中で本に親しむ習慣がなく、喜んで絵本を読まれる方もいらっしゃるとのことでした。
タリーズのこだわりやオリジナリティーについての質問も上がりました。タリーズでは生産者をとても大事にしていて、現地に出向き、寄り添って一緒にコーヒーを育てています。生産者の生活が潤うようなお付き合いをして、この先も一緒にコーヒーを楽しめるようにと考えているそうです。
現代の日本では、なかなか生産者の顔が見えないという問題があります。タリーズでは、スタッフが生産者にお手紙を書いたり、日本に招待してコーヒーが飲まれている様子を見てもらったり、という活動を続けているそうです。
本も最近では電子書籍で手軽に読めるけれど、手に持ってページをめくったり声を聞いたり、人を通じた「体験」はかけがえのないものです。もしかしたら無くても困らないかもしれないけど、そんなことも大切にしていきたいと浜中さんは語ります。
「人」の心や思い出がどれだけ沁み込んでいるか。コーヒーも絵本も、伝えたいことや実現したい場所には通ずるものがあるのかもしれません。
イベント後半は、恒例の参加者全員の「本トーーク!」タイム!
思い思いに絵本をめくったり、お気に入りの本について情報交換したり、各々の時間を過ごします。コーヒーの香りが漂う中で、人と想いをつなぐ空間がそこにはありました。
編集後記
活字の本に比べて、一見情報量が少ないけれど、そのぶん読み手次第で豊かにできるもの。それが絵本だと思います。ゆっくりと自分と向き合う時間、大切な人と共に過ごす時間。コーヒーを飲むという行為も、それに似ているのではないでしょうか。(日置ノリオ)
第4回目を迎えためぐる星天『本トーーク!』。本を読む行為が会話というにコミュニケーションに派生したことで、読書が人との繋がりをはぐぐむきっかけになっています。穏やかでゆったりとしたこのコミュニティの輪が、本を楽しむという枠を超えてより広がっていくよう、今後も活動を続けて参ります。(Circular Yokohama編集部)
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Circular Yokohama Editorial Team
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