めぐる星天「本トーーク!」#1&2 を開催しました【イベントレポート】
- On 2024年3月26日
Circular Yokohamaが運営する、地域のシェア本棚「めぐる星天文庫」。誰かが読まなくなった本を、次の誰かへバトンタッチして読んでもらうための活動として普及推進を進めています。この取り組みを一層加速させるべく、活動拠点「qlaytion gallery」のある、星天エリア(横浜市保土ヶ谷区、星川・天王町周辺エリア)にて同じく本をテーマに活動する方々とのコラボレーションにも力を入れています。
今回は、2023年12月5日開催の「めぐる星天『本トーーク!』#1 〜まちに”本がある場所”をつくるには?〜」と、2024年2月26日開催の「めぐる星天『本トーーク!』#2 〜本屋さんと考える、未来をつなぐ本と場づくり〜」のふたつのイベントについてご紹介します。
めぐる星天「本トーーク!」とは?
読書が好きな人も苦手な人も、「本がきっかけのお喋り=本トーク」はできるのでは?と思い、始めた本のトークイベント。参加者同士で本にまつわるトークテーマを元に対話や学びを楽しんでもらうことを目指しています。相鉄線の星川駅〜天王町駅の高架下施設「星天qlay」を中心に、横浜エリアの”本をめぐる人たち”と一緒に企画・運営をします。
本イベントレポートは、本トーークを共催する、「”本がある場所”をつくりたいラジオパーソナリティー」日置ノリオさんに寄稿していただきました。
のべ27名の参加者が集まって楽しんだ、「本トーク(=本がきっかけのお喋り)」が地域に生み出す新たな循環の形を深掘りします。
書き手:日置ノリオさん(”本がある場所”をつくりたいラジオパーソナリティー)
FM西東京にて毎週金曜23:00~23:30放送「Another Scenery 〜はたらく人の旅するラジオ〜」企画・メインパーソナリティー。2022年に新卒から勤めた大手人材企業を退職し、現在フリーランス。愛読書は星野源『いのちの車窓から』、生涯のバイブルは『モモ』。
#1 まちに”本がある場所”をつくるには?
第1回目のゲストスピーカーは、「本と工房 オドリバ」オーナーの増田卓哉さん。
横浜市認定歴史的建造物でもあるインペリアルビルの一室に小さな工房を構えて、ものづくりをしながら小さな図書館を併設。本とものづくりが溶け合う空間をどうすればつくれるのかを模索しながら活動しています。
「”本がある場所”をつくりたいデザイナー」nishiさん、「”本がある場所”をつくりたいコミュニケーションデザイナー」NORIさんを交え、「本がある場所のつくりかた」についてお話ししました。
増田さんは元から本好きだったわけではなく、コロナ禍をきっかけに読書をするようになったとのこと。NORIさんも活字を読むのが苦手だったり、nishiさんも写真やグラフィックの多い本が好きだったりと、それぞれの本との関わり方にも個性がでます。
本を通じて自分は何ができるんだろう?と考えるnishiさん・NORIさんに対して、増田さんは「まず自分と世界の間に何かを”置いてみる”ところから始めてみては」と語ります。
本を読み出した時・私設図書館をつくった時も、具体的な目的や勝算があったわけではなく「面白そう」だからやってみたという増田さん。”置いてみた”ものを同じように面白がってくれる人が現れて、勝手に転がり出していく瞬間があるそうです。
読書という行為も、必ずしも最初から最後まで読み切らなくてはいけないわけではない。ちょっと読んで積読にしておいたり、興味がある章から読み始めてみたりしたっていい。本を楽しむこと、そして何かを始めてみることのハードルが、少しだけ下がるようなクロストークでした。
イベントの後半は、参加者全員で交流会!思い思いの好きな本を語り合ったり、お互いの読書活動についてシェアしたり。「本トーク」に花が咲きました。
#2 本屋さんと考える、未来をつなぐ本と場づくり
第2回目のゲストスピーカーは、全国のイオンショッピングセンターに店舗を構える「未来屋書店」天王町店の冨田卓吾さん。新卒で本屋さんに就職して以来その道一筋、叩き上げの書店長です。
普段なかなか直接お話を聞くことのない「本屋さんの仕事」について、参加者の皆さんも興味津々。選書の仕方や店作りについて、さまざまな質問が飛び交います。
「未来屋書店」はいわゆる大型書店ではあるものの、自由な裁量権も認められているとのこと。本好きのアルバイトスタッフの意見を取り入れながら、「本と音楽」「SDGs」など若者向けのオリジナルコーナーをつくるなど工夫しているそうです。
冨田さんが棚づくりをする上で意識しているのは、「子供を子供扱いしない」こと。大人が「この本は子供には難しい」と制限をかけなければ、子供の好奇心はどんどん成長していきます。同時に、同じ本棚に大人も楽しんで読める本があれば、その姿を見た子供はより「読書は楽しい」と思えるようになる。
近年では「書籍に使う年間の世帯平均額は1万円前後」、「1/4の自治体には本屋さんがない」というデータも。一方で、冨田さん曰く「高校生までの読書時間は実は変わっていない」そうです。「本がある場所」を残していくためには、大人自身が本を楽しみ、その姿を子供に見せてあげられることが大切なのかもしれません。
「電子書籍や漫画も立派な読書」「まずは読書に興味を持ってもらうことで、リアルな本を買いたいと思ってもらえる機会も増える」と語る冨田さん。本の魅力を伝えようと最前線で働く人の想いに触れて、本がより好きになれる時間でした。
イベントの後半は恒例の交流会。「普段周りに本の話を思い切りできる人がいないので楽しかった」「本屋さんで本を買いたくなった!」と、今回の「本トーク」も大盛況でした。
編集後記
「読書は好きだけど、最近なかなか時間がなくて」「自分よりも読んでいる人はいるから、本好きを名乗っていいものか」そんな声をよく聞きます。
「好き」は比べたり資格がいるようなものではないけれど、そんなハードルを感じてしまうことは、誰しもあるのではないでしょうか。
「好き」をあるがまま声に出せる場・「好き」を互いに認め合って繋がれる場を、本をきっかけにして今後もつくっていけたらと思います。(日置ノリオ)
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Circular Yokohama Editorial Team
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