めぐる星天「本トーーク!」#3を 開催しました【イベントレポート】
- On 2024年9月12日
Circular Yokohamaが運営する、地域のシェア本棚「めぐる星天文庫」。誰かが読まなくなった本を、次の誰かへバトンタッチして読んでもらうための活動として普及推進を進めています。この取り組みを一層加速させるべく、活動拠点「qlaytion gallery」のある、星天エリア(横浜市保土ヶ谷区、星川・天王町周辺エリア)では、同じく本をテーマに活動する方々とのコラボレーションにも力を入れています。
2024年6月15日には、本をきっかけにお喋りをする読書イベント「めぐる星天『本トーーク!』」の第3弾を開催しました。今回のテーマは、「めぐる星天『本トーーク!』#3 〜親子ではぐくむ本とのカンケイ〜」です。当日は11名の参加者が集まり、親子の読書にまつわるエピソードを交えた本トークが展開されました。
本記事では、イベント当日の様子をレポートします。
めぐる星天「本トーーク!」とは?
読書が好きな人も苦手な人も、「本がきっかけのお喋り=本トーク」はできるのでは?と思い、始めた本のトークイベント。参加者同士で本にまつわるトークテーマを元に対話や学びを楽しんでもらうことを目指しています。相鉄線の星川駅〜天王町駅の高架下施設「星天qlay」を中心に、横浜エリアの”本をめぐる人たち”と一緒に企画・運営をします。
イベントバナーは、星川駅〜天王町エリア在住のnishiさんがデザインをしました。この企画は、星天qlayに関わる本好きの皆さんと一緒に作っています。
さらに、本イベントレポートは、本トーークを共催する「”本がある場所”をつくりたいラジオパーソナリティー」日置ノリオさんに寄稿していただきました。
書き手:日置ノリオさん(”本がある場所”をつくりたいラジオパーソナリティー)
FMサルース、毎週金曜22:00~22:30放送「Another Scenery 〜はたらく人の旅するラジオ〜」企画・メインパーソナリティー。2022年に新卒から勤めた大手人材企業を退職し、現在フリーランス。愛読書は星野源『いのちの車窓から』、生涯のバイブルは『モモ』。
今回のテーマは、「親子ではぐくむ本とのカンケイ」
第3回目となる今回のテーマは、「親子ではぐくむ本とのカンケイ」です。ゲストに天王町・星川エリアで子どもの教育に携わる3名をお呼びし、本を読むことが苦手な子どもへの接し方や、子どもたちに本を通してできることは何かを話し合いました。
1人目のスピーカーは竹末悦与(たけすえ・えつよ)さんです。2024年4月に星天qlayにオープンした学童保育施設「ワオキッズ星川園」に勤め、日頃から園に通う子どもたちに絵本の読み聞かせをしたり、一緒に保土ヶ谷図書館へ本を借りに行ったり、子どもたちが本に触れる機会を積極的につくっています。ご自身は昆虫や車の図鑑を見るのがお好きだそう。
2人目のスピーカーは、天王町にある民間学童サービス「アフタースクールMyPort」「総合学習塾スクールNEO」の代表を務める久下沼 和樹(くげぬま・かずき)さん。久下沼さんは、自身が受験生の時に、国語の問題を通して小説や説明文を読む楽しさに目覚めたと話しました。最近は、娘に読み聞かせをする中で絵本の魅力を再認識したといいます。
3人目のスピーカーである河野 里実(こうの・さとみ)さんは、保土ケ谷区内を中心に無料の学習支援教室を開校する「NPO法人 学舎 こころ星」の代表を務めています。活字中毒を自認するほど子どものころから読書が好きだという河野さん。原体験は、小学6年生のときに読んだ「人間失格」で、「わからないことを知りたい!」と思ったといいます。
読書へのハードルを感じている子どもたち
まず最初の話題は、子どもの読書離れと読書が苦手な子どもについてです。
河野さんはまず、「本人も親も、本を読めないと思い込んでいることが多いです」と語ります。実際、漫画であれば難しい人名や複雑なストーリーを読むことができる子どもは多くいます。
「読解力はあるのだから、あとは絵があるかないかの違いです。こちら側の工夫や伝え方次第で、思い込みを外してあげることはできます」
また、久下沼さんは「『読みなさい』と押し付けるのではなく、気になるところにそっと置いておくことが必要だと思います」と語ります。現代のように娯楽がたくさんあるなかで、あえて本や読書に絞った空間を用意することも彼なりの工夫のひとつだそうです。子ども自身が自ずと本を手に取れるような環境をつくることが大切だと話しました。
トークセッションの中盤に、参加者から「そもそも文字を読むことが苦手な子どもへどう接すべきか」と質問があり、話題は読み聞かせの大切さに及びました。
河野さんは、活字を「読む」ことにこだわらず、活字を「使って」想像力を育むことが大切だと考えているそうです。「『どうしてこうなったんだろう?』、『この人はどんな気持ちだと思う?』など、読み聞かせを、子どもと一緒に考えたり会話をしたりすることが大切です」と述べました。
竹末さんは、読み聞かせをするなかで、登場人物を子どもの名前に変えて楽しませていると話しました。「『わからない=つまらない』とならないよう、子どもが自分ごととして本を楽しめるような工夫を心掛けています」と、具体的な対応方法を共有しました。
久下沼さんも、「わざと間違えて読んで、リアクション待ちをしてみることがあります」と笑顔で話していました。それと同時に、子どもの頭の中で言葉と映像が結びついているかを観察している、と教えてくださいました。
読み聞かせを聞いている子どもの頭の中にあるイメージや体験を親が想像したり、一緒に過ごした思い出を振り返ったりしながら本を読んでいくと、親も一緒になって本の世界を楽しめるかもしれません。
子どもに本を読んで欲しいと思いながら、自分自身がそんなに本が得意ではない、という親御さんもいらっしゃるかもしれません。しかし「本を読む」ことは、あくまで子どもと時間を共有するためのきっかけです。親自身が難しく捉えずに、子どもたちと共に考えたり話したりすることを楽しめたなら、そこから新しい「親と子のカンケイ」が生まれてくるのではないでしょうか。
イベントの後半は、恒例の参加者全員での「本トーーク!」タイムです。
子どもと関わる仕事に就いている参加者が多く、読書の話題はもちろんのこと、まさに「本をきっかけにした」教育談義にも花が咲きました。
編集後記
「本そのものは、お喋りのきっかけでも良いのでは」と考えて企画しているこのイベント。子どもと日々関わるゲストの皆さんは、思った以上に本というツールを柔軟に使いこなしていました。「本とのカンケイ」の可能性が広がったのを感じると同時に、地域で教育に取り組む皆さんへのリスペクトがさらに増した回になりました。(日置ノリオ)
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Circular Yokohama Editorial Team
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