横浜みなとみらいで、映画館のポップコーンをアップサイクルした「YOKOHAMA HOPCORN LAGER」が誕生【レポート】
- On 2026年4月15日
2026年3月27日、横浜市、一般社団法人横浜みなとみらい21、ヨコハマSDGsデザインセンターは、みなとみらい21地区の食品ロス削減の新たな取り組みとして、地区内の映画館で発生するポップコーンを原料に活用したサステナブルなクラフトビール「YOKOHAMA HOPCORN LAGER」が誕生したことを発表しました。2026年4月下旬より順次一般販売が開始されます。
この記事では、2026年3月30日に技術系スタートアップの成長支援拠点「TECH HUB YOKOHAMA」で開催された新商品お披露目会の様子を詳細にレポートします。
映画館「横浜ブルク13」のポップコーンを活用したクラフトビール
「YOKOHAMA HOPCORN LAGER」は、みなとみらい21地区内の映画館「横浜ブルク13」で、製造工程で生じる弾け残りや割れなどの規格外のポップコーンや、来場者数の変動によりやむを得ず販売期限を迎えてしまうポップコーンなどをビールの主原料である麦芽の一部として活用したクラフトビールです。ポップコーンに含まれる炭水化物を糖に変え、発酵させることで、新たなクラフトビールへとアップサイクルしました。
誕生した「YOKOHAMA HOPCORN LAGER」は、すっきりとした飲み口にホップの爽やかな香りが広がる軽やかな味わいが特徴で、普段クラフトビールを飲まない人にも親しみやすいテイストに仕上がっています。
この取り組みは、環境省の「脱炭素先行地域」に選定されている同地区において、食品ロス削減を目指す中で生まれました。横浜市、ヨコハマSDGsデザインセンターが地域の事業者と検討を重ねる中で、地域の映画館で発生するポップコーンの食品ロス問題に着目。ヨコハマSDGsデザインセンターがマッチング役となり、原料を提供する「横浜ブルク13」と、廃棄食品などを活用したビール開発を行うスタートアップ「株式会社Beer the First」が連携することで、今回の商品化が実現しました。
商品情報

- 商品名: YOKOHAMA HOPCORN LAGER
- 特徴: すっきりとした飲み口にホップの爽やかな香りが広がる軽やかな味わい。ポップコーンを原料に使うことで、麦芽だけでは出せない軽やかな仕上がりに。
- 内容量: 350ml(缶)
- アルコール度数: 5% / 賞味期限: 240 日
- 販売者: 株式会社 Beer the First
販売情報
- 一般販売: 4月下旬より、食品館あおば、成城石井、FUJI、デリド、相鉄ローゼンなどのスーパーマーケット、横浜ブルク13、TECH HUB YOKOHAMA(館内カフェ)、そごう横浜店、横浜高島屋、コレットマーレ内 STORY STORY YOKOHAMA、AKOMEYA TOKYO 横浜ポルタなどで順次販売。
今回のお披露目会では、本プロジェクトの中心となった3者が登壇。それぞれの立場から、プロジェクトの背景や商品に込めた思いを語りました。
登壇者
- 岡崎 修司 氏(横浜市 脱炭素・GREEN×EXPO推進局 脱炭素社会移行推進部長)
- 辛島 俊二 氏(横浜ブルク13 サイトマネージャー)
- 坂本 錦一 氏(株式会社Beer the First 代表取締役社長)
アップサイクル・クラフトビールで食品ロス削減に取り組む株式会社Beer the First
まず、製造を手掛けた株式会社Beer the Firstの坂本氏が登壇。同社は2021年の創業以来、廃棄される食品や未利用素材をアップサイクルしたビールの企画・販売を行っていることを紹介しました。

株式会社Beer the First 坂本氏
「食品ロスの中でも、パンや麺類といった炭水化物の廃棄量は特に多いのが現状です。ビールの製造工程では、麦芽の酵素でデンプンを糖に分解しますが、この工程で他の炭水化物を活用することで、食品ロス削減に貢献できると考えました」と、坂本氏は事業の着眼点について説明しました。
さらに、なぜクラフトビールで食品ロス削減に取り組むのかという点について、「ビール市場が縮小傾向にある一方、クラフトビール市場はここ10数年伸び続けています。このような成長市場で食品ロス問題に取り組むことで、より多くの人々にアプローチでき、有効な解決策になりうると考えています」と、成長市場で社会課題解決に取り組む意義を強調しました。
資源循環の可視化により課題を特定し、サーキュラーエコノミーを推進する横浜市
続いて、横浜市の岡崎氏が、今回のプロジェクトが生まれた背景を説明しました。
まず、みなとみらい21地区が置かれている状況について、「この地区は国の『脱炭素先行地域』に選定されており、2030年までのCO2排出量実質ゼロを目指しています。電力の脱炭素化だけでなく、この地域ならではの熱供給の脱炭素化、そして今回のテーマである『資源循環=サーキュラーエコノミー』の推進も含まれていました」と、地域で掲げている目標と背景を紹介。その上で、「この脱炭素先行地域の取り組みには現在、商業施設やホテルだけでなく、病院や美術館など45もの多様な施設が参画しており、地域全体で脱炭素化に非常に前向きな土壌があります」と、協力体制が基盤にあることを説明しました。

横浜市 岡崎氏
次に、具体的なアクションとして、「2023年3月から『みなとみらいサーキュラーシティプロジェクト』を立ち上げ、その中で、日本で初めて地区単位での資源の流れを可視化するという、非常にユニークな取り組みを行いました」と語り、資源循環の可視化のプロジェクトに言及。そして、その結果について、「排出される廃棄物の量を線の太さで表した図を作成したところ、可燃ごみに次いで生ごみの割合が非常に大きいことが分かりました。このデータに基づき、我々とヨコハマSDGsデザインセンターが中心となって食品ロスに関する検討会を立ち上げ、その具体的な一例として、今回のポップコーンを活用したビール製造が実現しました」と、データに基づいた課題解決プロセスであったことを説明しました。

みなとみらい21地区で行われた資源循環の可視化の取り組み
映画館の現場から。横浜ブルク13が語る参加の決め手
次に横浜ブルク13の辛島氏が、映画館が抱える構造的な課題について次のように説明しました。「映画館では、日常的な製造工程の中で、どうしても弾け残りや割れといった規格外のポップコーンが一定程度発生してしまいます。それに加えて、動員数の予測や販売予測が大きく外れた時に、販売期限が過ぎてしまうポップコーンなどもあります。ただ、これは常に一定量発生するわけではなく、日によって変動が大きいのが実情です」。

横浜ブルク13 辛島氏
続けて、今回のプロジェクトへの参加を決めた心境を次のように語りました。「これまで、日々廃棄になってしまうものがある中で、こういった取り組みに積極的に参加する機会は多くありませんでした。ですので、このお話を聞かせていただき、私たちが廃棄を削減でき、また新たな形で消費されるということが非常に素晴らしいと感じました。その思いが形になるということで、ぜひ参加させていただきたいと思いました」。
登壇者が語る、プロジェクトへの期待
最後に、登壇者がそれぞれ今後の展望を語りました。

株式会社Beer the First 坂本氏「私たちにとっても横浜市さんにとっても初めて尽くしの取り組みでしたが、多くの方に手に取っていただきたいという思いで企画を進めてきました。この商品を皮切りに、次の企画、そして第2弾へと繋げていけるよう、さらに取り組みを広げていきたいと思います」
横浜市 岡崎氏「今回は、課題を抱える事業者(ニーズ)と解決策を持つ事業者(シーズ)を結びつけて、良い形で解決することができました。横浜市内には他にも20以上の映画館がありますので、ぜひこの動きを広げていきたいです。市民の皆様には、ポップコーンという身近なものから生まれたこの商品を通じて、行動変容に繋げていただけたらと考えています」
横浜ブルク13 辛島氏「エンターテインメントを提供する企業として、このような面白い試みに参加でき、非常に嬉しく思います。日々発生する廃棄物を削減できる素晴らしい取り組みだと感じており、今後も継続していきたいです。映画館のお客様にとっても、このビールが身近に触れる楽しみの一つになることを期待しています」
地域が一体となって食品ロス問題に挑んだ今回のプロジェクト。一杯の美味しいビールが、多くの人々を巻き込みながら、新たな循環の輪を広げていくことでしょう。
【参照記事】横浜市「みなとみらいの映画館のポップコーンを活用したサステナブルなクラフトビールが誕生しました!」
【参照記事】横浜市「みなとみらいで取り組む「地区の資源循環の可視化」を公開─ 施設数倍増で地区全体の動きを把握へ ─」
【関連サイト】横浜市「脱炭素先行地域の取組」
【関連サイト】株式会社Beer the First
【関連サイト】横浜ブルク13
【関連サイト】一般社団法人横浜みなとみらい21、ヨコハマSDGsデザインセンター
【関連サイト】ヨコハマSDGsデザインセンター
【関連記事】みなとみらいサーキュラーシティ・プロジェクト
Circular Yokohama Editorial Team
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