地域の資源をアートで循環。瀬谷の小麦とコーヒーがつなぐまちの未来【イベントレポート】
- On 2024年12月23日
「GREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)」の開催を約2年後に控えた横浜市。その開催地である瀬谷区では、地域資源を活かした循環型のまちづくりに期待が集まっています。
Circular Yokohamaでは、2024年9月29日に開催された「瀬谷駅北口駅前広場(以下、駅前広場)」を活用したイベント「第3回輝きフェスティバル」の区政PRブースで横浜国際園芸博覧会瀬谷区推進協議会と瀬谷区役所が主催するワークショップの運営に協力。同博覧会の開催900日前を記念し、瀬谷区の地域資源を活用したコーヒー粕アートの体験を行いました。
当日は、普段瀬谷駅を利用する瀬谷区民の方々はもちろんのこと、市内他区からも来場者が集まり、まちの盛り上がりが可視化されるイベントとなりました。
本記事ではブースの模様をレポートするとともに、瀬谷区のまちの「今」を紐解きます。
瀬谷区ならではの「特別な」コーヒー粕アートづくり
当日はあいにくの曇り空。雨の心配もありましたが、午前10時には無事にイベントが始まりました。
駅前広場には、地域の人々が出し物を披露するステージや食べ物を売る屋台、そしてCircular Yokohamaが運営するワークショップなど、様々な催しがそろいます。
開始と同時に、コーヒー粕アートの体験ブースには、「チラシを見た」とアート体験を楽しみにしていた親子やお買い物のついでに通りかかったご年配の方など、地域の皆さんが集いました。
コーヒー粕アートに使うのは、横浜ビールの搾りかすを練りこんだ「クラフトビールペーパー(以下、ビールペーパー)」と、飲み終わったコーヒーの粕を乾燥させたもの。
今回瀬谷区では「GREEN×EXPO 2027」にちなんで、ビールペーパーに瀬谷区のマスコットキャラクター「せやまる」と「このは」の園芸博バージョンのデザインを施しました。
これまでCircular Yokohamaが企画してきたコーヒー粕アート体験は、まっさらなビールペーパーの上に自由に絵を描くスタイル。しかし今回は、せやまるたちのイラストに合わせたアレンジが求められます。
そして、使用するコーヒー粕にも工夫を加えました。当日は、瀬谷駅の隣にある三ツ境駅に隣接する「スターバックスコーヒー TSUTAYA 相鉄ライフ三ツ境店」にて使い終わって捨てられるはずだったコーヒー粕をご用意。同店舗になじみの深い地域の皆さまにとって、「特別な」アート体験を提供しました。
塗り絵のようにコーヒー粕でせやまるたちに色付けしたり、ペーパーの空いたスペースに文字や図柄を加えたり、想像力をふくらませてアートを楽しんでいただきました。草花を描くと花畑のように、太陽と波を描くと浜辺のように、書き足すイラストによって情景ががらりと変わるところが、今回のアート体験のユニークな点でした。
瀬谷区産の小麦が、姿を変えてまちに返ってきた
また、開催中には偶然の出会いもありました。ブースを訪れた方から、「このビールペーパーの原料は横浜ビールの副産物ですが、横浜ビールには瀬谷区産の小麦が使われているんですよ」との情報提供がありました。なんと、実際に瀬谷区で小麦の栽培に関わっているという方が参加してくださっていたのでした。
瀬谷区で栽培された小麦がビールになって市内に流通し、その副産物であるモルト粕(絞り粕)がクラフトペーパーになって再び瀬谷区に戻ってくる。まさに、地域資源の循環が体現された好事例です。
子どもたちはビールやコーヒーにはあまりなじみがありませんが、「瀬谷の小麦」や「三ツ境駅のスタバ(スターバックス)」と聞いて、資源の価値を直感的に理解したり、アート作品への愛着が高まったりしている様子でした。
コーヒー粕アート体験は、参加定員の100名を超える盛況ぶり。夕方に向けて降り出した雨にも負けず、無事にたくさんの方々にアートを通じた資源循環を体験していただくことができました。
開催後記
2024年9月現在、12万人が暮らす瀬谷区。市外の多くの人々が「横浜」と聞いて想像するみなとみらい21の近代的な都市景観とは異なり、自然の豊かな神奈川県央エリアに近いほのぼのとした景観を楽しむことができる地域です。
今回のイベントには、前述の通り近隣に住む方々が多く訪れました。
「電車に乗ってとなりまちに出かけようと家を出たが、駅前で楽しそうなイベントがあったので今日は瀬谷で過ごすことにした」とか、「イベントが気になるので、いつもよりも早く瀬谷に帰ってきた」と話す方がいたのが印象的でした。また、アート体験を待つ列では「○○さん久しぶり!」と、知り合いと顔を合わせて楽しくお話をしている方の姿もありました。
せっかくの週末に海老名駅や横浜駅など大きなまちに出かける良さもあります。しかし、地域のイベントが「たまには地元で休日を過ごしてみようかな」と思うきっかけになり、その結果、近所に住んでいるけれど普段会うことのない知人と再会できたり、ビールペーパーやコーヒー粕アートなど地域資源との出会いをもたらしたり、地域コミュニティに様々なプラスの効果が生まれる瞬間を目にすることができました。
また、子どもや若い家族に人気のコーヒー粕アート体験ですが、今回のイベントでは40代~80代の方が参加者全体の40%を占めました。もちろん子どもや若者の参加も多くあり、幅広い年齢層の方々が同じ机を囲んでアートを体験している様子は、瀬谷区だからこその光景でした。
Circular Yokohamaでは、サーキュラーエコノミー推進の一環として「GREEN×EXPO 2027」に関わる様々な取り組みに積極的に参画しています。今回のブース出展を通じて、同博覧会に向けた具体的かつ直接的な活動をひとつ実現できたことをうれしく思います。
【関連記事】GREEN×EXPO 2027 開催900日前記念「捨てるなんてもったいない!コーヒーかすアート」ワークショップを開催します
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【参照記事】瀬谷駅北口駅前広場活用推進協議会について
【参照記事】2027年国際園芸博覧会 公式ウェブサイト
【参照記事】令和6(2024)年 町丁別人口(住民基本台帳による)|横浜市
室井梨那(Rina Muroi)
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