
オリジナルドキュメンタリー「リペアカフェ」上映会 in パタゴニア横浜・関内【イベントレポート】
- On 2025年1月28日
2024年12月7日、パタゴニア横浜・関内にて、オリジナルドキュメンタリー映画「リペアカフェ」の上映会を開催しました。
当日は同店舗による「ローカルリペアカフェ」の活動も実施され、リペアを学び、体験するために多くの人々が会場を訪れました。
本記事では、パタゴニア横浜・関内とIDEAS FOR GOOD、Circular Yokohamaの企画による上映会とアフタートークの模様をご紹介します。
映画「リペアカフェ」とは
本作品は、ハーチ株式会社が運営するメディア「IDEAS FOR GOOD」の映像制作を担当するクリエイティブチームによる初のドキュメンタリーフィルムです。
リペアカフェとは、お店では修理を受け付けてくれないような壊れた家電や服、自転車など、あらゆるものを地域のボランティアが無料で直してくれる、オランダ発祥の取り組み。
本作品では、オランダにおけるリペアカフェの現場を取材し、壊れた家電や衣類を持ち寄った市民が、ボランティアと協力して修理を試みる様子を描いています。ただの修理行為を超えた「人と人とのつながり」を生み出すリペアカフェの文化を学ぶことができる映像です。
映画『リペアカフェ 』予告編
映画「リペアカフェ」とパタゴニア横浜・関内「ローカルリペアカフェ」の出会い
この度の上映会開催のきっかけは、パタゴニア横浜・関内が同店舗にて定期開催している「ローカルリペアカフェ」の取り組み。ブランドを問わず、破れたり、穴のあいたウェアを店舗に持ち込むと、ミシンやリペアパッチ等を使った簡単な補修を施すことができます。これにより、地域の方が日常的にリペアを楽しめる場を提供しています。

パタゴニア横浜・関内での「ローカルリペアカフェ」の様子
そして、この「ローカルリペアカフェ」の活動の起源となったのが、オランダで普及している「リペアカフェ」なのだそうです。
そこで、同店舗が2024年12月に開催した「ローカルリペアカフェ」にあわせ、映画「リペアカフェ」の上映を実施。横浜の地域にもリペアカフェの取り組みが存在していることを周知しながら、それに関心のある方々の集う機会を創出することを目指しました。
映画鑑賞から地域交流まで。リペアを知り、楽しむ1日
当日のプログラムは、映画上映、参加者による感想共有と交流、オランダから中継によるディレクターズトーク、そしてクロストークの4部構成です。
前半の上映会では、アウトドアウェアの店舗の雰囲気にあうキャンプ椅子をならべ、リラックスした雰囲気で映画を鑑賞しました。会場にはゼロウェイストをテーマに神奈川県逗子市で活動するコーヒースタンド「SWAN COFFEE」が出張し、ハンドドリップによるコーヒーの販売も行いました。
大量消費時代のトレンドに逆行するリペアカフェのあり方
上映後は参加者同士の感想共有時間を設けたのち、パタゴニア横浜・関内、IDEAS FOR GOOD、Circular Yokohamaが登壇し、クロストークを実施。単なる修理ではなく、地域で新たなつながりを生む文化としての「リペア」について議論が行われました。

クロストークの様子
リペアカフェの発祥地であるオランダから中継参加したIDEAS FOR GOOD・クリエイティブディレクターの瀬沢正人は、映像制作当時を回顧。そして、「リペアカフェは、モノの修理を通じて、地域の人々がつながり、孤独感を癒す場でもあります。高齢化や孤独が課題となる日本でも、このような取り組みが広がることで新しいコミュニティの形が生まれるのではないでしょうか」と語りました。
パタゴニア横浜・関内のストアマネジャーの市原壮一郎さんは、パタゴニアが掲げるWORN WEARのコンセプトについて言及しました。モノをより長く使い続けることで全体的な消費を減らすという考え方の根底にある想いとして、「アウトドアマンである自分にとって洋服は、海や山など様々なフィールドを共にする道具であり、相棒のような存在です」と述べ、リペアを通じて同じアイテムを大切に使い続ける内発的動機づけの重要性に触れました。
それに加えてCircular Yokohamaの室井梨那は、「モノが物質的に長持ちしたとしても、持ち主が飽きてしまったり不要だと感じてしまったら、簡単に捨てられてしまうかもしれない。『物持ち』や『修理可能性』だけではなく、大事に使い続けたいと思うようなデザインの追求も大切だろう」と述べました。

クロストーク登壇者(左から:瀬沢、室井、市原さん)
終了後、参加者からは次のような感想があがりました。
「上映直後に周りの方々と感想を言い合うことで、臨場感をもって感情を共有できたと思います。『私にも想いがある』とか『自分にできることがあるかもしれない』といった気づきが生まれ、このきっかけを大事に何か行動してみたくなりました」
「なかなか知る術のない海外の素敵な取り組みをわかりやすい映像で見ることが出来てとても貴重な時間でした。モノがあふれた時代に生まれた若い世代の子どもたちや、安価で大量生産することに慣れた社会人にこの映画を見てほしいです」

パタゴニア横浜・関内 上映会にご参加の皆さま
開催後記
パタゴニア横浜・関内や参加者の皆さまとの対話を通じて、それぞれの強みを活かしながら同じ地域で協働していくことの可能性を感じるイベントとなりました。
ウェブメディアやプラットフォームの運営を専門とするCircular Yokohamaでは、モノがもつ物質的な耐久性を延ばすことはできません。しかし、取材や記事、イベントの設計を通じて、人々がモノに対して抱く感情を変化させる、すなわち情緒的な耐久性を延ばすことには働きかけることができます。他方、アウトドアウェアのメーカーであるパタゴニアは、物質的な耐久性の延長に貢献することができるはずです。
今回は、物理的耐久性と情緒的耐久性にそれぞれの視点から向き合うことで、リペアを通じたコミュニティの発展に向けた多角的な議論を行うことができました。
パタゴニア横浜・関内では、今後も定期的に「ローカルリペアカフェ」の活動を行うとのことです。
Circular Yokohamaでは、この映画を通じてリペア文化を広める取り組みを続けてまいります。
本作品の今後の上映スケジュールは、「IDEAS FOR GOOD『リペアカフェ』公式ページ」をご確認ください。また、自主上映会の開催にご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
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【参照記事】IDEAS FOR GOOD「リペアカフェ」公式ページ

室井梨那(Rina Muroi)
