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誰も置き去りにしない。コミュニケーションで地域の未来を紡ぐ「フードバンク横浜」

  • On 2020年7月20日

現在、日本では年間約600万トンの食べられるはずの食品が廃棄されています。

政府広報オンラインによると、2019年時点での日本全国の食品ロスは年間643万トンにのぼり、これは国民一人ひとりが年間で50キロ以上の食品を廃棄している計算になります。

この食品ロスを引き取り、それを必要としている貧しい人たちへ無償提供する活動が「フードバンク」です。フードバンクは、「フードドライブ」や「パントリー」という言葉でも知られており、1967年にアメリカで始まったものです。まだ食べられるにもかかわらず品質や賞味期限の事情から通常の販売ルートで売り出すことができない食品を集め、食糧を必要としている人々に届けています。

アメリカでは、フードバンクというと教会の前に人々が列をなして順番に食糧の配給を受けたり、食糧調達に困っている人々の家を巡回し食品を配達したりという光景がみられます。

そんななか、食による支援を追求する従来のフードバンクのシステムでは心のケアに手が届いていないと感じ、横浜独自のフードバンクの姿を実現しようと立ち上がった方がいます。それが、NPO法人横浜フードバンクの加藤さんです。

NPO法人横浜フードバンクでは、食のフードバンクとして製造工程で出る規格外品や破棄される食品ロスを個人や企業から回収し、福祉施設やホームレスに無料で提供する活動に取り組んでいます。さらに、心のフードバンクとして助けを必要としている人びととの対話による精神面の支援にも力を入れています。

今回は、同団体より理事長を務める加藤安昭さんと、副理事長兼事務局長である宮原一郎さんのお二人にお話を伺いました。日本の人々が持つ民族性や、それを生かした横浜流のフードバンクの形とはどのようなものなのでしょうか。

支援の始まりは、その全容を明らかにすること

──フードバンクの活動を始める前は、人を支援する活動にあまり関心がなかったと話す加藤さん。しかし、2011年に起きた東日本大震災がきっかけとなりその必要性を身をもって知ったといいます。

加藤さん:友人からの誘いで、東北の被災地へボランティアに行くことになりました。私は被災地に家族や知人もいないので実は初めはあまり気が乗らなかったのですが、友人から背中を押され行ってみることにしたのです。

──東北の被災地で初めて体験するボランティア活動を通して、加藤さんは日本の支援体制の問題点に気がつきます。

加藤さん:日本の人はみな根が優しいので、地震が発生した時も支援物質を送ったり、募金をしたりとそれぞれできることを探して支援をする人がいました。一方で、そういった支援物資や支援金が、一体誰に届き、どんな形で使われているのかというところが不透明になっています。実際、被災地には全国から届いた支援物資を避難所に届けるだけで去っていく日本の支援団体もいれば、一方で海外から持ち込んだ支援物資を被災者一人ひとりに直接手渡しする海外の支援団体もいました。その光景を見て、本当の意味で人を支援することとは何かを考えさせられました。

その後も、台風や豪雨によって全国各地で深刻な災害が発生しました。その度に、我々フードバンクにも『支援物資を送ってはどうか』という声が届きます。しかし、ただ支援物資を送るだけでは、自己満足で終わってしまう。まず、どんな人がどこでどのように困っているのかをきちんと把握すること。そして、支援物資が人々に届くまでの過程全てに責任をもつことができて初めて、支援活動が成り立つと考えています。

──加藤さんは5年間にわたる東北被災地支援の経験を生かし、その後も人助けの活動を継続したいと考えました。

 

加藤さん:東京で月に2回行われるホームレスの方々への炊き出しのボランティアに参加しました。しかし、活動をしながらホームレスの人々の社会復帰を願う一方、その難しさから炊き出しの活動に無力さを感じていました。ホームレスとして暮らし始めるまでの事情は人それぞれですが、そうなる前に手を差し伸べられなかったのかと疑問に感じたのです。

──そして加藤さんは一念発起し、2016年に横浜でフードバンクを設立します。

いま求められるのは、卵型の助け合い

──加藤さんが横浜で活動を行うにあたって、まず初めに手助けが必要なのはホームレスの方々だと感じているそうです。横浜フードバンクではホームレスの方々を「街ともさん」と呼んで、支援を行っています。

加藤さん:街ともさんのなかには、実は家族や友人がいて今でも連絡をとっているけれど、彼らには自分がホームレスをしていることは話していないという人もいます。ホームレスにならなくても生きていく道があるかもしれないような人がホームレスをしている現状を見逃せませんでした。人間社会の根本にあるのは『助け合い』だと思うのです。その助け合いの文化を取り戻したいと思いました。

──そこで、地域連携し横浜流の街ともさん支援に乗り出します。

加藤さん:横浜市中区の中華料理店『山東』さんの協力で、月に1度街ともさん達に食事を配っています。私たちは、この活動の目的は食事の配布ではなく、街ともさん達とのコミュニケーションにあると考えています。特に、身近に家族や友人がいるという街ともさんが社会復帰を果たすために必要なことは、本人が恥を忍んででも周りの人々に助けを求める勇気と、周りの人々が助けの手を差し伸べる優しさです。横浜フードバンクの役割は、その助け合いを促すことだと思っています。

しかし、私たちはあくまでも支援をする側です。助け合いの核には家族の存在があって、それを包み込むのがフードバンクのような支援者の存在です。これはまさに卵のような形で、黄身が家族、そして白身が支援者たち。さらにその卵の外側にあるのが一般社会です。支援体制がそんな卵のような構造になって欲しいと願って私たちは日々取り組んでいます。

フードバンクだからできるコミュニケーションベースの支援

──横浜フードバンクでは、子ども食堂や奨学米の給付、こどもみらい塾の提供、さらにシングルママ・パパの応援など、子ども支援に関わる多くのプロジェクトを立ち上げています。街ともさんたちを通して、世の中には必要な時に助けを求めることが難しい環境が存在するのだということを知った加藤さんは、同じような家庭環境に置かれている子ども達にも力添えが必要だと考えたのです。

加藤さん:家庭の貧困は世代を超えて連鎖することがあります。私たちはそれを断ち切り、子ども達に等しく活躍のチャンスを与えたいと思っているのです。こどもみらい塾のプログラムでは、勉強したいけれど一般の学習塾に通うのが難しいという子どもたちを集めています。e-ラーニングのシステムを利用することで、提供する学習の質を一定化しています。子どもたちの中には、本当に熱心に何時間も勉強をして帰る子もいます。

我々は、子どもたちがこどもみらい塾での学習を通して『人はやればできるんだ』と感じられる機会を提供したいのです。テストの点数や成績といった結果で一喜一憂するのではなく、プログラムへの参加を通して子どもたちが得た『体験』を評価しています。

──横浜フードバンクでは、子どもたちを支援するにあたって何よりも大切にしていることがあります。それは、会話です。

加藤さん:子どもたちとのコミュニケーションを通じて、彼らの精神的成長を支えたいのです。顔を合わせた際に生まれる会話にこだわって、支援活動時には悩み相談や簡単な占いをしたり、時には近所のお坊さんを呼んで話を聞いてもらうこともあります。子どもたちやその親御さんと直接利害関係のない私たちだからこそ、素直になって話をできることもあるでしょう。食事や学習機会を提供するという目的を越えて、彼らに楽しみも与えることができたら良いと思い、支援の際にはいつもフードバンクに出向いてもらうのです。

誰にとっても避けて通れないテーマ「社会貢献」

こうした心のこもった横浜フードバンクの支援活動に賛同する声は日に日に増加し、今では毎日絶えることなく支援物資が届くそうです。

加藤さん:横浜フードバンクは今、皆様への感謝の気持ちから悲鳴を上げるくらい数多くのご支援をいただいています。2019年には個人からの物資の提供は300件を超え、企業からも100ケース、1000ケースという単位で本当にたくさんの物資が届きました。

──フードバンクに届く食糧以外にも、横浜の人々の支援に対する温かい気持ちを感じられる場所があります。

加藤さん:横浜市内のとある食べ放題の焼肉店では、食べ残したお客さんには罰金という形で追加料金の支払いをお願いしていたそうです。しかしそれでは罰金を払っていく人は誰もいませんでした。そこで、その焼肉店ではメニューの最初のページに『食べ残した分の追加料金は、横浜フードバンクに寄付します』と大きく書くようにしたというのです。すると、寄付されるのならと追加料金を支払っていくお客さんが現れ始め、今ではその焼肉店から横浜フードバンクへ定期的に寄付金の振り込みがあります。

──さらにSDGsという言葉が登場してからは、企業の社会的貢献も避けて通ることのできない新しいテーマとなりました。

加藤さん:最近では企業からの『我々にもできることはないか』というお問い合わせが多くなっています。これまでは個人で支援したいという人が多くいましたが、これからは企業単位での支援が増加していくように感じます。企業の社会的責任を果たそうと動き出している会社が増えているのは良い流れではないでしょうか。

個人も企業も手を取り合って、誰も置き去りにしない

──新型コロナウイルスの影響から、支援を希望する問合せはそれ以前の4〜5倍に増えたといいます。また新しい生活様式への移行により、横浜フードバンクが大切にしてきた人とのコミュニケーション機会の確保が非常に難しく、助けを必要としている人々にリーチできない状況が続いています。

そんな困難な状況下でも安定した支援を提供するために、より一層個人や企業との協働に力を入れていきたいと話す宮原さん。

宮原さん:とにかく今は、ウィズコロナの時代に私たちができることを必死に探っています。例えば、e-ラーニングのシステムをリモートで利用できるプラットフォームづくりや、人との接触機会をできる限り減らしながら支援物資を届けられるデリバリーシステムの構築など、アイデアを実現するために私たちも助けが必要な状況です。個人や企業の皆様とのつながりはもちろんのこと、私たちと同じように支援活動に取り組む同業者の皆様との協力の輪も広げ、支援体制を維持するノウハウを共有していきたいです。

──支援を要する人々に物資を届けるというだけではなく、配給の機会がもたらす人同士のつながりを大切に「助け合い」の文化を構築していく。それが横浜フードバンク流の地域に根ざした支援の姿です。

加藤さん:フードバンク設立当初は支援物資の確保が課題であり、私たちが近くのスーパーマーケットで買ってきたお菓子を子どもたちに配っているような時期もありました。今では横浜の人々のおかげで『誰も置き去りにしない』という横浜フードバンクの理念が少しづつ形になっています。これからも横浜独自の支援を継続し、地域がより良くなるようたくさんの方々と協力していきたいです。

編集後記

フードバンクという言葉やその取り組みへの認知は、日本国内でも少しづつ広がっているように感じます。しかしながら、その理念や目的まで正しく浸透しておらず「フードバンク」という言葉だけが一人歩きしている現状があることも事実です。

また地震や豪雨等の災害は「誰かを支援したい」という気持ちを行動に移すきっかけになる一方、自分には実際どのように支援ができるのか迷ってしまうという場合があるかもしれません。そんな「支援したいけれどどうしたら良いかわからない」という方は、ぜひ横浜フードバンクと協働してみるのも良いのではないでしょうか。

【参照サイト】NPO法人フードバンク横浜
【参照サイト】政府広報オンライン

  • SDGs, フードバンク, フードロス, ボランティア, 循環型社会, 横浜, 食の支援, 食品ロス
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室井梨那(Rina Muroi)

横浜出身。幼い頃から自然食やエコな暮らしに興味を持ち、学生時代には日本の伝統食を学ぶ。その後アメリカで1年間を過ごし、帰国後は日本のサステナビリティを国内外に向けて発信している。

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