横浜市内のプラごみを使った、世界で一つのプロダクトづくり【体験レポート】
- On 2021年5月20日
2021年2月27日(土)、横浜市・馬車道にあるhaishop cafeにて、横浜市内で拾ったプラスチックごみを資源として活用するワークショップを開催しました。
当日は「プラスチックのサーキュラーエコノミー」座学セッションにもご登壇いただいた、海洋プラスチックのアップサイクルブランド「buøy」を展開する株式会社テクノラボ代表の林光邦さん、buøyのプロダクトオーナーである田所沙弓さんにご協力いただき、前週にみなとみらいで開催したごみ拾いで見つけたプラスチックを資源として活用した、新しいプロダクトづくりに挑戦しました。
※本イベントは、Circular Yokohamaが、一般社団法人YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス、NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボと共同で企画運営するCircular Economy Plus School(サーキュラーエコノミープラススクール)のプログラムです。
プラスチックを「捨てなくなる」にはどうしたら良いのか?を考える
まずはじめに、株式会社テクノラボ代表の林光邦さんから、海洋ゴミから生まれたプロダクト「buøy」の取り組みについてご説明いただきました。
日本海沿いをはじめとするいくつかの地域では生活に支障をきたすレベルの海洋ゴミが漂着しているという現状や、プラスチックの中にはリサイクルができず焼却するしかないものもあり、廃プラが増加する原因としてリサイクルの技術にも課題が残されていることを教えていただきました。そして、リサイクル製品が再び廃棄物となって捨てられてしまうという課題を背景に「私たちがプラスチックを『捨てなくなる』ためにはどうしたら良いのか?」という思いから生まれたbuøyのコンセプトや、商品がどのように作られているのかを語っていただきました。
テクノラボでは、この時期ちょうどbuøyの新製品「leaf-series」の発売と、「室内用植木鉢プラントポット」のクラウドファンディングを開始したばかり。会場に実物をご持参いただき、参加者のみなさんに手にとってご覧いただきました。
プラごみを活用した「マグロ」のキーホルダーづくり
講義のあとは、いよいよプラスチックを活用したワークショップに取り掛かります。
今回挑戦したのは「マグロ」をモチーフにしたキーホルダーづくり。みなとみらいのほか、若狭湾産、広島産、原宿産など各地で拾った色とりどりのプラスチックの中から、配色を考えて透明な袋に詰めていきます。
好みに合わせて色を混ぜたり、上下で色を変えたり、出来上がりを想像しながら詰めていきます。
「先週みなとみらいで拾ったプラスチック、ゴミ拾いのときは灰色に見えたけれど、実はクリーム色だったんですね」
「原宿産のプラスチックは、色合いもポップに感じます」
「広島産のプラスチックは、牡蠣の養殖のカゴに使われていたものなのだそうです」
林さんの説明を聞きながら、ここでも「その地域ならではの特徴」という新しい発見がありました。
続いて、プラスチックを詰めた袋を金属の型にはさみ、熱を加えてプレスしていきます。
蓋をあけてみると、想像していたのと異なる模様があらわれたり、裏表で柄がぜんぜん違ったり。人それぞれ個性のある柄と色合いに、一つと同じものはないオリジナリティを感じました。
カッターとハサミを使って、マグロの形に整えていきます。
こうして、思い思いのキーホルダーが完成しました。
「『リサイクル』というともっと泥臭い感じがするけど、こういった素敵な空間でワークショップをやると、なんだかリサイクルという概念が変わるように感じますね」
参加者の皆様から、そんなご感想もいただいた本ワークショップ。「ごみ」だったプラスチックを世界に一つだけのオリジナルプロダクトに生まれ変わらせることで、素材を「地域の資源」として捉えなおすことができる、と実感したひとときでした。
編集後記
座学セッション「プラスチックのサーキュラーエコノミー」の副題にもあげられていた通り、環境問題に対して身のまわりでできることを考えたときに「プラスチックを使うのは悪いことなのではないか」と考えていたことがありました。しかし、プラスチックはあくまで素材の一つ。食品の包装や日用品など、今や私たちの生活になくてはならないものになっています。耐水性や軽さなど便利であることは言わずもがな、衛生面が重視される昨今の状況では特に、プラスチックが大活躍しているといってもいいのではないでしょうか。
本ワークショップの中で、テクノラボの林さんがおっしゃっていた「プラスチックが好き」という言葉がとても印象的でした。今回作成したキーホルダーを一人ひとりが大事に持ち帰ったように、素材そのものの良し悪しではなく「愛着を持つ」ものを選ぶことやつくるという行為が、限りある資源を大切に使うということにつながります。そしてそれは洋服や日用品などを含め、私たちの身のまわりにあるもの全てに置いて応用できることではないかと思います。
みなさんも身のまわりのプラスチックをはじめとした資源がどのように活用され、地域でどのように循環しているか、探ってみてはいかがでしょうか。いまはゴミに見えているものが、その地域ならではの資産に見えてくるかもしれません。
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【参照サイト】株式会社テクノラボ「buøy」公式サイト
Circular Yokohama Editorial Team
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