
森ノオトの拠点で地域の循環型コミュニティづくりについて学ぶ【体験レポート】
- On 2021年6月9日
2021年1月30日(土)、横浜市青葉区にあるNPO法人森ノオトの活動拠点となる「森ノオウチ」と「森ノハナレ」にてフィールドワークを開催しました。
テーマは「サーキュラーエコノミーとまちづくり」。市民が主体となって進める循環型のまちづくりや、アップサイクルを通じた地域のコミュニティづくりについて、NPO法人森ノオト理事長の北原まどかさんと同団体コミュニティデザイン事業部マネージャーの梅原昭子さんにご紹介いただきました。
※本イベントは、Circular Yokohamaが、一般社団法人YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス、NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボと共同で企画運営するCircular Economy Plus School(サーキュラーエコノミープラススクール)のプログラムです。
市民がライターとなり情報発信をする森ノオト
地域の魅力を発信するウェブメディアである森ノオト。(森ノオト設立の背景は、座学セッションのレポートにてご紹介しています。)
まず初めに、シェアオフィスや事務所として使われている「森ノオウチ」にて、コミュニティデザインを手掛ける梅原さんより森ノオトが実践するサーキュラーエコノミーについてご説明いただきました。

森ノオトコミュニティデザイン事業部マネージャーの梅原昭子さん
「森ノオトでは、メディア運営による小さな循環の積み重ねを作っていくことで、まちの担い手が育つ仕組みを作っています。記事を書く際、その記事に関わるライター、取材相手、編集者、そして読者がそれぞれの活動や想いを聞くことで価値観がかわり、行動が変わり、結果的に環境が変わると考えています。」
森ノオトというメディアに携わることで、エコやサステナビリティという目線から、地域と自分との関係性を見直すきっかけを提供しているのです。

「森ノオウチ」にて森ノオトの循環について説明を聞いている様子
森ノオトの活動はウェブメディアだけにとどまりません。森ノオトに掲載された店舗や活動団体が一度に集まる「あおばを食べる収穫祭」の開催や、自然と調和した暮らしや仕事の拠点となる「森ノハナレ」を参加型のDIYで改修するなど、人と人が直に触れ合う機会も大切にしています。
森ノオト活動拠点でもあり地域コミュニティの拠点でもある「森ノオウチ」と「森ノハナレ」
レクチャーの後は、地域工務店や地域の造園業者など、身近なプロに指導を受けながらスタッフや森ノオトサポーターの方々とともにつくったという敷地の中を歩きました

森ノオトスタッフを中心に舗装作業に挑戦した道

雨水タンク(緑)とコンポスト(手前)

パーマカルチャーを参考にあらゆる植物を育てている「もちより畑」
「もちより畑」では、パーマカルチャーで推奨されているように、円形状に様々な植物を植えています。育てているのは、ネイティブアメリカンがお香に使うといわれているホワイトセージをはじめとするハーブや、レモン、ニラ、パクチー、菊芋など多様な植物。これらは、春から夏にかけて実っていくといいます。
布を循環させる事業「AppliQué」
そして、森ノオトがこれまで育ててきたもう一つの取り組み、「AppliQué(アプリケ)」。これは、寄付された布や手芸用品を販売し、次の使い手に循環させる事業です。
「森ノハナレ」には、月に一度行われるチャリティーマーケット「めぐる布市」に向けて全国から集まる寄付布や手芸資材がたくさん並んでいます。森ノオトのメディア事業から派生した「めぐる布市」のプロジェクトは、森ノオトを通じた買い物が手仕事の文化継承や地産地消に繋がり、さらにそれが環境意識の向上にも繋がる、という地域や環境を守る循環の輪を生み出しています。

大きな布(写真奥)やセット販売の布。(写真手前)

布だけでなく、裁縫に必要な糸やボタンなどの小物も
サンプルとして展示しているグッズは、なるべく使い捨てにならない箸包みやエコバックなど、繰り返しかつ長く使えるものに絞って提案しているそう。

キット化された商品や、オーダーできる商品のサンプルも展示されている。
そして布は、ハンカチになるサイズのものもあれば、絨毯のように大きいものまで、柄だけではなく大きさもいろいろです。

小さな端切れ
参加された方々は皆、興味津々な様子で個性豊かな布を手に取って眺めていました。
「実際に布に触れ、循環を生み出すという目的やその想いを聞くことで、布や裁縫に対する視点が変わりました」、「布のバリエーションが豊かで驚いたのと同時に、布から自ら作ってみることでサステナブルな実践をする一歩になると感じました」などの感想があがりました。
訪問をしての気づき
フィールドワークの最後に、参加者のみなさんから気づきを共有いただきました。
「自分たちがやりたいこと、実現したい世界を一つずつ着実に実践されているのを実際に目で見ることができ、大変勉強になりました」という声や、「森ノオトさんの拠点に置かれているモノの配置や組み合わせのセンスが大変参考になり、クリエイティブな力が人を巻き込む上で大事だと気付きました」、「この拠点では、衣食住が緩やかにつながっていると感じました」など、様々な視点でみなさんも参考にできる学びがあったようです。
そして、「今日の体験を通して森ノオトさんの素敵な活動をより多くの方に知ってもらえるよう自分も発信していきたい」という感想には、多くの頷きが見られました。
編集後記
「暮らしの足元から地域を編集し、一歩を踏み出すきっかけをつくる」をミッションに掲げている森ノオト。取材活動を通して記事に携わる市民ライター、取材相手、編集者、そして記事を読む読者や買い物に訪れるお客さんなど、すべてのステークホルダーが信頼関係を築き、地域の中に多様なつながりを生み出しています。
木のぬくもりが感じられる建物や緑豊かな屋外の敷地からは、森ノオトが目指す、人や環境に優しい世界へ向けた工夫やこだわり細部にまで凝らされており、居心地の良い空間が作られていました。
自分の地域で活動していきたい人に向けてのアドバイスを伺うと、「自分がいいなと思うこと、好きだなと思うことを発信すると、情報や仲間が集まってきます。自分の興味関心から軸を作り、共感できる人を地域のなかで見つけていくことができれば良いのではないでしょうか」と梅原さんは答えました。
北原さんも「味噌づくりを複数人でやり始めたことをきっかけに今に繋がる取り組みが始まった」と付け加えました。「興味がありそうな人々に声をかけて広がっていったので、目指す世界のキーワードを共有しながら、その人たちと目指す世界観を発信しつづけて仲間を作ることが重要です。」
なにか行動を起こしたいと思っている皆さんも、まずは自分の好きなことを集め、周りに発信することから始めてみてはいかがでしょうか。
【関連サイト】森ノオト
【関連サイト】AppliQué
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Circular Yokohama Editorial Team

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