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廃棄されるモルト粕をアップサイクル。クラフトビールを味わい尽くす「CRAFT BEER PAPER」

  • On 2021年9月9日

ビール文化発祥の地とも言われ、複数のクラフトビール醸造所が集まる横浜。地元の素材を使って作られることも多いクラフトビールがどのように作られているか、ご存知ですか?

ビールの材料となるのは、麦芽(モルト)、ホップ、酵母、水の4つ。スパイスやフルーツなどの副原料を組み合わせる場合もあり、この組み合わせ次第で、ビールの色や香り、味わいが決まると言われています。

今や文化として定着しつつあるクラフトビールですが、ビール業界の課題の一つとされているのが、醸造過程で大量に排出されるモルト粕。「何かに使えないか」と頭を悩ませるビール会社は多いものの、現状はそのほとんどが廃棄されているといいます。そんな中、横浜市SDGs認証制度“Y-SDGs” を取得した横浜のスタートアップ・株式会社kitafuku(以下、kitafuku)がクラフトビール会社とタッグを組み、モルト粕をアップサイクルして作られた「CRAFT BEER PAPER(以下、クラフトビールペーパー)」が2021年6月に発売されました。サーキュラーエコノミーを実現するにあたり、各企業がパートナーシップを組み、廃棄を価値に転換することは重要なアプローチのひとつです。どのような思いからモルト粕のアップサイクル実現に至ったのか、また今後の展開について、プロジェクトを手がけるkitafukuの松坂匠記(まつざか・しょうき)さんと松坂良美(まつざか・よしみ)さんにお話を伺いました。

地方出身だからこそ、地域の仕事をつくりたかった

松坂匠記さん(以下、匠記さん)「私たちkitafukuは、夫婦ふたりで起業した会社です。地域や企業のストーリーを伝える仕事をしていきたいという想いから、このクラフトビールペーパーのほか、IoTデバイス製作、コミュニティ運営など複数の事業を手がけています。妻(良美さん)が北海道出身、私が福岡出身のため、お互いの出身地から『北』と『福』をとってkitafukuと名付けました」

もともとは同じ会社でシステムエンジニアをしていたという匠記さんと良美さん。お二人ともフリーランスの期間を経て、起業に至ったといいます。

松坂良美さん(以下、良美さん)「私たちの出身地は北海道と福岡。どこに住んでいても地域の仕事がつくれたらいいな、と思っていたので、今住んでいる横浜も一つの地元として、仕事で関わりが持てたらと思っていました」

kitafukuの良美さん

SDGsに貢献できることをリサーチし「食品ロス」に注目

クラフトビールペーパーの着想に至ったきっかけは何だったのでしょうか。

匠記さん「横浜におけるSDGsに関連する課題について調べていたら、食品ロスが多いことがわかりました。製紙会社に勤めている友人が紙にいろいろな材料を混ぜ込む研究をしており、『今後一緒に何かできたらいいね』と以前から話していたので、そこを紐づけ、廃棄物から紙が作れたら面白いなと思ったのです」

最初は漠然と「廃棄になる食材からクラフトペーパーをつくりたい」という思いから始まったというプロジェクト。どんな業界や企業と組むことで社会的に大きなインパクトが与えられるのか、しばらくの間、構想に頭を悩ませたといいます。この活動を「横浜」を象徴するものにしたいと思い、ワインやコーヒー、横浜市の花であるバラや、横浜土産のお菓子なども材料として試してみたそうです。

匠記さん「協力していただける企業を探していたところ、『クラフトビール業界では廃棄になるモルト粕を利活用しているところもあるが、全量には至らない』という話を聞き、このクラフトビールペーパーの企画に至りました」

モルト粕が排出される様子

モルト粕が排出される様子

 

そこで生産者や飲食店、大学などとの共創を通じた地域貢献を目指し、地域の人たちとの交流イベント等さまざまな活動を行う株式会社横浜ビール(以下、横浜ビール)に声をかけ、「ぜひやりましょう」と快諾されたことから、企画が大きく前進していきました。

良美さん「横浜ビールではゆずのビール、苺のビールなど、地元の農家さんが育てた果物を取り入れた商品を販売していて、私たちもそこから横浜の生産者さんを知るきっかけをいただきました。横浜という地域に深く根差しているところがこのプロジェクトにぴったりだと思っていたので、実現したときは本当に嬉しかったです。実際に取り組みを始めてから気付かされることもたくさんありました」

匠記さん「特に素敵だな、と思ったのは『ビールそのものの美味しさを伝えたい』ということに加えて『ビールづくりに関わっている人を伝えたい』という姿勢です。実際に私たちもビール工場を見学させていただいたのですが、作る過程を知ると何倍も愛着がわいて、店頭に商品があると手に取りたくなりました。どうやって作られたのかという点も含めて、ストーリーを伝えるのは大事だなと思いましたね」

クラフトビールペーパー製造の様子

クラフトビールペーパー製造の様子

「アップサイクルしても、使われないと意味がない」と実験を重ねた

匠記さん「ビールをつくるときは、モルトを沸騰させ、麦汁だけがビールに使われます。ビール会社から提供された廃棄になるモルト粕を、製紙会社で乾燥・粉砕をして再生紙の材料に溶かして混ぜ込み、クラフトペーパーにします。そこから裁断や加工をしてつくられたのがこのクラフトビールペーパーです」

出来上がったペーパーはほんのりビール色、モルト粕の粒感のあるあたたかい風合いが特徴的です。出てくる色味や繊維の質感にこだわり、現在の配合にたどり着いたといいます。

匠記さん「モルトの量を増やせば増やすほど再利用されることにはなるのですが、『使われないとやる意味がない』と考え、紙としての使いやすさを重視して試行錯誤を重ねました。モルトの粒が多過ぎると印刷機にかからなくなるということがわかり、素材感を残しつつ印刷に使えるクオリティを保つため、(モルト粕の比率が)6%という配合に至りました」

共同で開発を行なっているのは、創業明治23年、奈良県で紙卸問屋を営む株式会社ペーパル。以前より松坂さんご夫婦と交流があったことに加え、2021年2月には廃棄になる米を活用した新素材の紙をつくるなど、食品ロス問題の解決を目指すための商品開発に積極的に取り組んでいたことからパートナーシップを組むことになったといいます。

良美さん「製紙会社でも紙に異素材を混ぜ込む技術を持っているところとなると、かなり数が限られます。加えて、実験にご協力いただける企業はまだまだ少ないのが現状です。お付き合いがあったことをきっかけに、歴史と技術あるペーパルの皆様に協力していただきながら研究開発を進めました」

排出されたモルト粕

排出されたモルト粕

さらにクラフトビール会社へのヒアリングを重ねると、モルト粕の廃棄に費用をかけ続ける現状にストレスを感じている企業も多いと感じたといいます。「コストカットできるところはここ(産業廃棄物の処理費用)だ」という方もいたそうです。

匠記さん「シーズンにもよりますが、横浜ビールでは1ヶ月に1.5〜2トンのモルト粕が排出されています。(クラフトビールペーパー製造の)プレスリリースを出してから、各地のブルワリーさんから数多くのお問い合わせをいただきました。皆さん第一に話されるのは、『モルト粕の廃棄をどうにかしたい』ということです。産業廃棄物になってしまうものを利活用するという着眼点がおもしろいと思って問い合わせてみました、というお声もいただきました」

良美さん「今までもモルト粕を使った企画はあったそうなのですが、課題が多く商品化まで至らないものも多かったと聞いています。その中で実現したプロジェクトとして、『自分たちにも何かできるのではないか』と興味を持っていただくことが多いですね。会社として、ちょうど環境への配慮を考え始めたタイミングでクラフトビールペーパーの取り組みを知って問い合わせたという方もいらっしゃいました。

モルト粕を使うという着想を得たのが2020年11月、横浜ビールさんと初めて話したのが12月です。失敗もありましたが、2021年1月に試作をして、2月に商品の製造を行いました。ここまでスピード感を持って実現できたのは、パートナーシップを組んでいただいた皆様のおかげです」

craft beer paper

活版印刷のような滲みが「味」になる

歴史ある製紙会社とパートナーシップを組み、使いやすさにこだわって開発したクラフトビールペーパーにはどのような特徴があるのでしょうか。

良美さん「丈夫で破れにくいのに加え、ほんのりモルト粕が残っているのが特徴です。1枚1枚粒の位置が違って、味があります。手触りも良いですね。片面がツルツル、もう片面がざらざらしているのですが、ざらざらした面に印刷するとオフセット印刷でも活版印刷のような滲みが出ます。印象も変わるので、用途に合わせて使い分けても面白いと思います」

匠記さん「ゆくゆくはクラフトビールペーパーを使った地域のスタンプラリー等もやってみたいです。また、今は一種類の厚みで生産しているのですが、もう少し厚みを出せたら、お客さんがお土産として持って帰りたくなるようなコースターも作れるかもしれません。クラフトビールのファン、各ブルワリーのファンは本当に多いので、訪れる方々に喜んでいただけたらと思っています。季節ごとのビールもあるので、ビールを提供するときのメニュー表などに使っていただきたいです」

良美さん「クラフトビールをセットにしたギフトボックスは多くのブルワリーが販売されているので、いずれ段ボールに代わるような素材も作りたいですね。ブルワリーは地元に根ざしている企業が多いので、地域の特徴も取り入れて広めていけるといいなと思います」

craft beer paperのハガキ

流通量を増やし、循環の輪を広げていく

匠記さん「今後は、まずはクラフトビールペーパーを流通させることを目標としています。流通量が増えれば、色々なブルワリーからモルト粕をいただいて次の紙を製造する、という循環が生まれます。現在は店舗での販売はありませんが、販売をしたいというご要望もいただいているので、次回生産の際はたとえばステーショナリーなど個人でも手に取りやすい商品の開発を検討できればと思っています」

良美さん「廃棄になるものを使った製品が『完全に環境に優しい』と言い切るのは難しいかもしれません。しかし、環境への配慮について考えるきっかけにすることはできると思います。実際に、クラフトビールペーパーの取り組みを知って『自分にできることはないか?』と連絡してきてくれた方もいらっしゃいました。

また、今後新しいプロダクトをつくる際に、別の工程が必要になる可能性があるのですが、その工程を仕事として地域の方にお願いすることで新しい雇用を生み出せたらと考えています」

匠記さん「クラフトビールペーパーに限らず、環境に配慮したものを使うのが当たり前の世界になってほしいですね。最初は『価格が高い』と感じるかもしれませんが、いまの子ども達が大人になったときによりよい社会になっていることを願って、後の世代について考えた選択をする方が少しずつでも増えたら嬉しいです。

最近ではペーパーレスが推奨されていますが、やはり紙でもらったものは心に残りやすいなと思います。私もいただいたお手紙は全部取ってありますし、一言メッセージが添えてあったら嬉しいですよね。今の時代だからこそ、あえて紙を選ぶことにも意味があるのではないかと思います。私たちkitafukuは、『好き』と『得意』から生まれる”やってみよう” を二人三脚で応援する会社です。企業、個人を問わず、何かやってみようと思っている方がいたらそこに寄り添って、よりよい社会をつくっていきたいです」

craft beer paperと横浜ビール

編集後記

「クラフトビール」というキャッチーなキーワードから考える「廃棄」という課題。取材を終えて、クラフトビール会社、製紙会社と、異なる産業企業が連携し、サーキュラーエコノミーを実現するにあたって欠かせないパートナーシップを結んだからこそ出来上がったペーパーなのだと感じました。

SDGsやエシカル消費をテーマにした商品が増える中、「まずは流通量を増やしてから、生産を増やしていく」というkitafukuの考え方はサステナビリティの本質をついているように思います。企業におけるペーパーレス化も進む中、「紙を使う機会が少なくなった今だからこそ、使うなら長く使われる紙をつくりたい」という松坂さんの言葉が心に残りました。

クラフトビールペーパーは現在、名刺、コースター、ポストカードを販売しており、特設サイトよりオンラインでの購入が可能。データ入稿が必要な製品の見積もりや、印刷サンプルのリクエストも受け付けているとのこと。資源循環につながる紙素材をお探しの方は、ぜひ問い合わせてみてはいかがでしょうか。

【参照サイト】CRAFT BEER PAPER
【参照サイト】株式会社kitafuku
【参照サイト】食品ロスとは(横浜市)

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金田 悠

北海道出身、横浜在住。学生時代は美学芸術学を専攻。スコットランド留学中に食のサステナビリティに目覚め、多様性のあるやさしい社会を目指して広報・ライティングを手がける。興味のある分野は、サーキュラーエコノミー、地産地消、ジェンダー。
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