プラスチックのリサイクルを身体を使って体験できる「湘南エコプロジェクト」

横浜市西区に拠点を置く株式会社湘南貿易は、インフレーション(フィルム)装置やプラスチック再生機械をヨーロッパから輸入し国内企業に販売する、1997年に創業した代理店です。

横浜市内では、湘南貿易が持つリサイクルに関わるネットワークやプラスチック資源に関する情報を活かして、リサイクルに対する正しい知識を広げ、人々の環境意識を高める取り組みを展開しています。

そのひとつが、プラスチックのリサイクルの全工程を目で見て、自分の体を使って体験できる「湘南エコプロジェクト」の活動です。同プロジェクトでは、湘南貿易社内や市内の小学校、地元の人々から回収したペットボトルのキャップを、新しい製品に再生しています。

はじめに、ペットボトルキャップを自転車型の破砕機に入れ、ペダルを漕ぐことで力をかけて小さく砕きます。次に、チップ状になったプラスチックを「マニュアルインジェクション装置」と呼ばれる機械に投入し、およそ250℃の熱で溶かします。そして、溶けて柔らかくなったプラスチックを作りたい製品に合わせた金型に流し込むと、新しい製品が誕生します。

金型には、洋服やカバンなどの服飾雑貨につけるボタンや定規といった文房具、ゴルフで使用するゴルフマーカーなど、様々な種類があります。また、作りたい製品に合わせて原材料となるペットボトルキャップの色を変えると、見た目も形もバラエティに富んだ再生品づくりが可能です。

さらに、粉砕したペットボトルキャップだけではなく、例えばポリエステル製の洋服も熱を加えることで再資源化することができます。このように、多様なプラスチック素材から様々な再生品を生み出す「マニュアルインジェクション装置」の可能性には期待がかかっています。

プラスチックの歴史は浅く、およそ100年ほど。産業革命以後に生まれた素材であることから、大量生産・大量消費型の暮らしに合わせて発展してきました。他方、製品のユーザーである生活者にとって、プラスチックの製造や加工、廃棄の過程は決して身近とは言えません。

しかし、プラスチックの素材としてのリサイクルが成り立つのは、人々が分別の重要性を理解し、生活のなかで行動に移すからこそ。湘南貿易では、リサイクルの要となる生活者に向けて、プラスチック資源の正しい知識や理解を広め、誰もが楽しみながら行動できるよう工夫しています。

※本商品は、Circular Yokohamaが運営するYOKOHAMA CIRCULAR DESIGN MUSEUMにて展示を行っています。

ここがサーキュラー!

1.機器の包括的かつ効率的な活用でリサイクルを促進

湘南貿易では、輸入機器の販売のほか、今すぐに機器を購入することが難しい企業や団体に向けて貸し出し(レンタル)サービスを提供しています。製品を売るのではなくレンタルする、つまり製品の所有権を販売者が維持するビジネスモデルは、「シェアリングエコノミー」や「PaaS(製品のサービス化)」の例として、サーキュラーエコノミー実現に向けた具体策の一つとしても知られています。導入コストが低くプラスチックのリサイクルを始めるハードルが下がるため、環境への取り組みが加速することが期待されます。

2.人から人へ、思い入れの連鎖で加速するリサイクル

ペットボトルキャップを使った再生品づくりは、数あるリサイクルの一つにすぎません。しかし、自分の手足を使って原料を粉砕し、それが新しい製品に生まれ変わる様子を目で見ることで、製品にストーリーが加わる点は、プラスチック資源の価値向上を助けます。例えば、授業の一環で湘南エコプロジェクトに関わった子どもたちは、手作りした再生品を大切に扱うだけではなく、その体験を思い出として友達や家族に共有します。環境問題やリサイクルについて人に説明することで子どもたちの課題意識が深まると同時に、それを聞いた人々も知識や理解を深めることができる、一挙両得の取り組みです。

3.より環境負荷の低い、小さな資源循環を促進

環境にやさしい資源循環のポイントは、できる限り狭い範囲でモノが巡る仕組み。ペットボトルをはじめとするプラスチック製品の多くは広域で行き交う素材ですが、湘南エコプロジェクトでは、地域で消費したプラスチックを地域でリサイクルし、地域で再利用します。資源循環の輪を狭域にすることで、原料調達や製品輸送にかかるエネルギーを削減しています。

プロジェクト概要

運営主体 株式会社 湘南貿易
カテゴリ リサイクル、アップサイクル、廃棄物削減
開始日 1997年1月17日
住所 神奈川県横浜市西区北幸2-15-1 東武横浜第2ビル 5F
URL コーポレートサイト:https://www.shonantrading.com
エコロジー事業部Webマガジン「ECORACY」:https://ecoracy.com
SNS Instagram:@ecoracy_shonan
Facebook:@ECORACY
連絡先 TEL 045-317-9380

他のプロジェクト一覧を見る

みなとみらいサーキュラーシティ・プロジェクト

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RiPiЯ

国内外のストック品(新品)をポイントリメイクする、サステナブルなレディースアパレルブランド。ブランド側の承諾を得てストック品を仕入れ、それらの製品にポイントリメイクを施すことで新たな付加価値を与えています。

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ベイバイク

ドコモ・バイクシェアの自転車シェアサービスの一つ、baybike。自転車を必要とするときにだけ利用することで、シェアリングエコノミーの特徴である“遊休資産”の活用に繋がります。

StockBase

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MAGO GALLERY YOKOHAMA

サステナブルアートの先駆者・長坂真護の専属ギャラリー。ガーナのスラム街に先進国が不法投棄した電子廃棄物を再利用して制作した作品等を販売し、先進国と開発途上国の間で循環が生まれるビジネスモデルを実現。

FOOD LOOP

横浜ビールが取り組む「FOOD LOOP」は食品廃棄物を資源として循環させるプロジェクト。モルト粕や食品廃棄物を堆肥化し野菜を栽培、収穫物を市内の飲食店で使用する形で食のリサイクルループを構築しています。

クラフトビールペーパー

クラフトビールを醸造する過程で廃棄されるモルト粕をクラフト紙に混ぜ込んで作られた再生紙。廃棄物を価値ある紙製品に変え、アップサイクルを実現することを目指してブルワリーや飲食事業者との連携を進めています。

Zero Ring

横浜のみなとみらい・関内エリアのテイクアウト容器を循環させるプロジェクト「Zero Ring」。テイクアウト容器を再利用可能にすることで使い捨て容器の課題を解決しながら、食べること自体に楽しみを与えたいという想いで始動しました。

アクアポニックス

水耕栽培と養殖を掛け合わせ、魚・微生物・植物の三者が生態系をつくる「循環型有機農業」のシステム。既存の農業・養殖業の生産・流通・資源循環のあり方を変え、資源の最小化、地産地消の推進、地域コミュニティの活性化に貢献しています。

Coco&K.

Coco&K.のバッグや小物は、フィリピンの環境問題に取り組むNGO団体「Kilus Foundation」の活動によって生まれたアップサイクル品。ジュースのアルミパックを再利用し、フィリピンの環境、雇用、教育の問題の改善につなげています。

TENTO

神奈川県の最西端山北町の間伐材を活用して作られたシェアオフィスは、横浜で働くことで横浜の水源を守ることに繋げたいという想いから始まりました。森に光を入れ健康な森を維持し、大切な水源の森を維持に貢献しています。

アイカサ

街中のカサスポットで簡単に傘を借りたり返却したりすることができる傘のシェアリングサービス。アイカサの傘は耐久性に優れ、かつ修理可能な設計となっており、使い捨て傘の廃棄量を減らすことにつながっています。

ウェブいいかも市

サステナブル志向の地域店の美味しくて素敵な品々が月に1度楽しめる、地域の共同購入「ウェブいいかも市」。テイクアウトでは味わえないつながりを感じられる新しい地域店への応援のカタチです。

めぐる布市

寄付布を活用したアップサイクルブランド「AppliQué」が新型コロナウイルスの流行を機に、布や手芸用品のアウトレットマーケット「めぐる布市」をスタート。布の循環とアップサイクルを通じた地域コミュニティを構築しています。

ZERO PC

エシカルパソコン「ZERO PC」は、ピープルポートによる中古パソコンのアップサイクルプロジェクト。環境負荷ゼロを目指しながら、難民雇用や子ども支援にも力を入れて取り組んでいます。

横浜ブルーカーボン

横浜市が展開する世界発の「ブルーカーボン」によるカーボン・オフセット認証事業。横浜市沿岸部の海藻などが固定した炭素をブルーカーボンとしてクレジット化して企業に販売。海洋保全や地元漁業の再生に活用しています。

横浜国立大学・川村研究室

横浜国立大学院の研究グループが取り組む、コーヒー粕からセルロースナノファイバーを抽出するプロジェクト。循環型社会の実現に向けて、食品廃棄物を活用した環境配慮型素材の開発を模索しています。

環境絵日記

環境絵日記は、子どもたちが環境問題や環境保全について考え絵と文章を組み合わせて自由に表現する、夏休みの応募型プロジェクト。環境教育に働きかけることで新たな循環型事業を生み出しています。

NPO法人 フードバンク横浜

規格外食品や食品ロスを引き取り、福祉施設や生活困窮者等へ無料で提供している団体。食のフードバンクであると同時に心のフードバンクでもありたいという理念のもと、横浜の地域密着型支援団体として活動しています。

横浜リユースびんプロジェクト

びんの地域循環と地産地消をテーマにした、横浜の地域密着型環境保全プロジェクト。プロジェクトオリジナルのリユースびんと飲料をプロデュースし、環境問題にも地域活性化にもアプローチしています。

横横プロジェクト

横浜市の脱炭素イニシアチブ「Zero Carbon Yokohama」の一環として、青森県横浜町の再エネを横浜市内の企業に供給する地域連携プロジェクト。みんな電力のブロックチェーン技術を活用して電力の産地証明を実現しています。

WEショップ

WE21ジャパンが運営する、寄付とボランティア参加をベースとしたチャリティショップ。寄付された衣類や食器類などを有料で販売し、収益は途上国支援へつなげます。市民のコミュニティスペースとしても機能中。

かながわアップサイクルコンソーシアム

石灰石を主成分とする新素材「LIMEX」の開発元、株式会社TBMと神奈川県との連携により発足した官民協働型の「かながわアップサイクルコンソーシアム」。アップサイクルを通じてサーキュラーエコノミーを推進しています。

Circular Economy Plus Tシャツ

横浜市内の廃棄ペットボトルからサーキュラーTシャツの制作を目指すプロジェクト。ごみ拾いはgreenbird、Tシャツ素材は日本環境設計、デザインは横浜出身のデザイナー、印刷はゼロカーボンにより大川印刷が担当しています。

buøy

海洋に廃棄されたプラスチックごみを美しい工芸品に生まれ変わらせる「buøy」。異なる素材や色のプラスチックを混ぜて成形する特殊な製造工法が特徴です。株式会社テクノラボの「Plas+tech project」から誕生しました。

ファブラボ関内

横浜・関内にある市民のための実験工房「ファブラボ関内」。3Dプリンターやレーザーカッターなどデジタル工作機器を常備し、ワークショップなども随時開催。ものづくりを民主化するコミュニティ拠点としても活用されています。

似て非WORKS

アーティストの稲吉稔氏・渡辺梓氏によるアップサイクル・アート。日常の中で見過ごされがちな消費されない「価値」や「資源」を探し出し、「そこにしかない、そこだからこそ生まれる『気付き』」を軸に活動を展開しています。

Yワイひろば

磯子区にある空き家を活用したコミュニティスペース兼シェアオフィス。1Fは地域住民向けコミュニティスペースに、2Fは地元企業のシェアオフィスに。オフグリッドの太陽光発電により災害時の避難拠点としても機能しています。

金澤八味

廃棄予定のアマモを肥料として活用し、地元農園で唐辛子などの野菜を栽培、地域発の名産品を開発。環境教育の一環として小学校とも連携。海を綺麗にし、子供を育て、経済を活性化させる循環型農業プロジェクトです。

ヨコハマ・ウッドストロー・プロジェクト

ヨコハマSDGsデザインセンターによる「木製ストロー」の普及プロジェクト。横浜市の水源となる山梨県道志村の間伐材を原料とするストローの製作には障がい者の方々が携わり、環境負荷削減だけではなく包摂的な事業モデルを実現しています。