港を中心に発展し、かつては漁業もさかんだった横浜。2050年までの脱炭素化戦略「Zero Carbon Yokohama」を掲げ、SDGs未来都市としてさまざまな気候変動対策に取り組んでいる横浜市では、海に生息する海草・海藻類によって吸収・固定される炭素をクレジット化した「ブルーカーボン」と、海洋での省エネルギー化によるCO2の削減効果をクレジット化した「ブルーリソース」を活用したカーボン・オフセット認証取引制度「横浜ブルーカーボン」事業を展開しています。ブルーカーボンを活用したカーボン・オフセット認証取引制度は世界でも例がなく、海とともに栄えてきた横浜ならではのユニークな事業となっています。
横浜ブルーカーボン
ここがサーキュラー!
1. 地域資源である「海」の可能性に着目
森林によるCO2吸収分(グリーンカーボン)のクレジットによるカーボン・オフセットは日本でも普及していますが、横浜市では横浜ならではの地域資源である「海」に着目。海藻などの海洋生態系が吸収し、海底に固定するCO2「ブルーカーボン」を活用した独自のカーボン・オフセット認証を構築しました。日本の沿岸地域に限ると、グリーンカーボンとは対照的にブルーカーボンは今後増加していくとの試算もあり、新たなCO2吸収源として注目されているブルーカーボンを通じて地域の環境保全だけではなく地場産業の再興につなげています。
2. 地域の海洋生態系と漁業を再生する
クレジットの販売を通じて得られた資金を活用して海洋生態系の保全・回復活動を行うことで、藻場が再生されてCO2吸収量が増えるだけではなく、地元漁業の再興にもつながります。ブルーカーボンを通じて自然も地域経済も再生し、市民の地域に対するプライドも向上する、サステナブルな好循環を生み出す事業だと言えます。
3. ブルーカーボンを通じて地域をつなぐ
横浜市は他の自治体にも「横浜ブルーカーボン」事業のノウハウを提供しています。その一環として、宮崎県日向市や大阪府阪南市など、同じく海洋生態系の保全活動や地場産業の活性化に熱心な5つの自治体のブルーカーボンも取引対象として認証するなど、海を起点として地域を超えたのつながりの輪を広げようとしています。
プロジェクト概要
運営主体 | 横浜市 |
カテゴリ | カーボン・オフセット |
開始日 | 2016年 |
住所 | 横浜市中区本町6-50-10 横浜市役所内 温暖化対策統括本部 プロジェクト推進課 |
URL | https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/ondanka/etc/ygv/bluecarbon.html |
連絡先 | 温暖化対策統括本部 プロジェクト推進課 on-project@city.yokohama.jp |
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