1. 不要品が「誰かにとって価値あるもの」に変わる
自宅の本棚で読まれずに眠っている本は、個人の遊休資産ともいえます。「所有」から「共有」へ概念を変え、地域の資産とすることで、それまで利用されていなかった本が「誰かにとって価値あるもの」に変わります。これは、モノや場所、スキルや時間などを共有するシェアリングエコノミーの体験にもつながります。このプロジェクトでは、経済的な負担なく誰もが本棚を利用できる場をつくることで、モノのシェアに加え、本を介在した地域の知識シェアも促しています。
2. 本は本のまま循環させることで環境負荷を軽減
読み終わった本を廃棄せず次の読み手に渡すことは、リユースの推進につながります。一度生産した製品は、可能な限りその形を保ったままで循環させることで環境負荷を軽減できることは、サーキュラーエコノミーの概念図「バタフライダイアグラム」にも示されています。古本を古紙としてリサイクルすることも資源循環の方法の一つですが、本は本のまま地域内で循環させることで製品の寿命を延長し、環境負荷の軽減に貢献することができます。
3. 「本の循環」を通してゆるやかなコミュニティを形成
めぐる星天文庫は訪れる度に置いてある本のラインナップが変わるため、リピーターの利用者が多くいます。本棚のあるギャラリー内で読書をしているうちに、スタッフや利用者同士の会話がはずみ、地域住民のもつ人脈や知識が共有されていきます。また、他社と協力して「出張本棚」を実施したり、同じく本の循環に取り組むバリューブックス株式会社(長野県上田市)と連携し本の寄贈を受けるなど、本を共通点としたゆるやかなコミュニティも形成されており、多面的な循環が促進されています。