ミツバチの飼育を通じた地域の環境学習プログラム「はち育®」

西武造園グループオリジナルの環境学習プログラム「はち育®」は、養蜂を通じて人々がその地域のみどりとより深く関わるきっかけを生み出すための取り組みです。2022年8月現在、神奈川県内の5つの公園にて実施されており、横浜市内では中区のアメリカ山公園(管理運営:西武造園株式会社)と磯子区の新杉田公園(管理運営:横浜緑地株式会社)の2カ所が活動拠点です。(※本記事では、横浜市内2カ所の拠点についてご紹介しています。)

同プログラムでは、飼育しているミツバチの巣箱の展示や、採蜜時に採れるミツロウを使ったクラフト体験を通して、人々がミツバチの生態や養蜂を通じた環境保全を正しく理解できるようサポート。養蜂をテーマに各公園や横浜近郊の学校、商業施設等で講座やイベントを実施し、子どもから大人まで全員を対象に、楽しく学びながら地域社会とつながるきっかけを創出しています。

養蜂においては、ミツバチの負担を軽減するため、抗生物質の投与や無理な採蜜は行わず、自然により近い形になるよう配慮しながら飼育を行っています。また、アメリカ山公園と新杉田公園では、公園敷地内で殺菌剤や殺虫剤、除草剤といった農薬を使用していません。敷地近くには田畑も少なく、近隣からの農薬飛散の心配が少ないのが横浜のはち育®の特徴です。このようにミツバチの健康と食品の安全に配慮したハチミツは、非加熱のまま製品化されています。さらに、はち育®では複数の花から採れる百花蜜を採取しており、地域によって色や風味が異なることから、地域ならではの味がご当地品としての付加価値を高めています。

そして、採れたハチミツを一般向けに販売し、地域活性化や環境教育、福祉との連携等につなげているのも「はち育®」の特徴です。

アメリカ山公園では、採れたハチミツを横浜市内のレストランやカフェ、ホテルのお土産店に卸すほか、アメリカ山公園事務所にて月に数回の対面販売を行っています。さらに、住宅街と観光地の両方の顔を持つ中区・山手の立地を活かし、地元の商店街とともにオリジナル製品を制作したり、地域の学童施設や小学校での環境教育に貢献したりしています。製品についた草花とハチのロゴが目印です。

新杉田公園では、はち育®を農福連携につなげており、公園すぐ隣の障がい者就労支援施設との協働で、採蜜後のハチミツをびんやボトルに詰めています。季節に合わせた風味をつけたハチミツあめの販売も行っており、各製品は横浜市内のデパートやガーデンセンターに卸しています。製品についたみつばちとゴールデン・レトリーバーのロゴが目印です。

※本プロジェクトの一部商品は、Circular Yokohamaが運営するYOKOHAMA CIRCULAR DESIGN MUSEUMにて展示販売を行っています。

ここがサーキュラー!

1. 地域とともに学び、実現するハチミツの地産地消

地域に合わせた方法でミツバチの飼育ができるのは、長きにわたる地域に根ざした活動があってこそです。横浜市内ではち育®に携わる公園管理スタッフのみなさんは、元々ハチの飼育経験はなかったそう。それでも、地域住民とともに養蜂に関する正しい理解を深めながら、地域に合ったサステナブルな養蜂の姿を築いてきました。また、アメリカ山公園では、一般的な都市公園の指定管理期間よりも長い10年間の管理許可事業を受託しており、長期にわたって同じ公園の管理に携わることが可能です。

2. 環境にも生き物にも優しい栽培方法で命の循環を生み出す

ハチにとって安心・安全な環境を作ることは、私たち人にとっての安心・安全を守ることでもあります。横浜市内のはち育®では、地域環境とミツバチ・住民の健康に配慮し、公園を無農薬で管理しています。また、本来農薬なしでの栽培は難しいとされていた横浜市の花「バラ」の無農薬栽培にも挑戦。現在も試行錯誤しながら、地力と植物の生命力を最大限に引き出す事を念頭に、土づくりや植物の維持管理を行っています。

3. 都市だからこそ求められる環境教育と養蜂の形

「ハチ」と聞くと「危険」というイメージを抱く人が多く、特に横浜のような都市では、ひと目につく場所にハチの巣箱が置かれていることはほとんどありません。そのため、食品としてのハチミツには馴染みがあっても、人々が生態系におけるハチの重要性や、安全にハチと付き合っていくための正しい知識を身につけるきっかけが少ないのが現状です。そこではち育®は、養蜂を通じた「環境学習プログラム」として、地域に開かれた活動を展開しています。学童施設や小学校での出張授業や、商業施設でのクラフトプログラムの開催を通じて、地域の誰もが自然環境に親しみを持つことができる機会を生み出しています。

プロジェクト概要(アメリカ山公園)

運営主体 アメリカ⼭公園パートナーズ
(代表企業:⻄武造園株式会社/構成員企業:横浜緑地株式会社)
カテゴリ 循環型農業、地域活性化、地産地消、環境教育
プロジェクト開始 2013年
※公園の管理開始年は2012年~
営業時間 平日9時〜17時(アメリカ山公園運営管理事務所)
住所 〒231-0861
神奈川県横浜市中区元町1-11-3 3階
(アメリカ山公園運営管理事務所)
URL https://www.seibu-la.co.jp/mt_america/
連絡先 電話:045-232-4661(アメリカ山公園運営管理事務所)

プロジェクト概要(新杉田公園)

運営主体 横浜緑地株式会社
カテゴリ 循環型農業、地域活性化、地産地消、環境教育
プロジェクト開始 2018年
※公園の管理開始年は2009年~
営業時間 午前8時30分~午後9時 / 午前8時30分~午後5時(1月、2月)
※12月29日~1月3日の年末年始を除く
(新杉田公園レストハウス)
住所 〒235-0033
神奈川県横浜市磯子区杉田5-32
(新杉田公園レストハウス)
URL https://www.kanagawaparks.com/shinsugita/
連絡先 電話:045-776-3313(新杉田公園レストハウス)

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FOOD LOOP
FOOD LOOP
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Recover(再資源化する)Reduce(減らす)Regenerate(再生する)
横浜ビールが取り組む「FOOD LOOP」は食品廃棄物を資源として循環させるプロジェクト。モルト粕や食品廃棄物を堆肥化し野菜を栽培、収穫物を市内の飲食店で使用する形で食のリサイクルループを構築しています。
クラフトビールペーパー
クラフトビールペーパー
食・バイオマス
Recover(再資源化する)
クラフトビールを醸造する過程で廃棄されるモルト粕をクラフト紙に混ぜ込んで作られた再生紙。廃棄物を価値ある紙製品に変え、アップサイクルを実現することを目指してブルワリーや飲食事業者との連携を進めています。
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Zero Ring
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横浜のみなとみらい・関内エリアのテイクアウト容器を循環させるプロジェクト「Zero Ring」。テイクアウト容器を再利用可能にすることで使い捨て容器の課題を解決しながら、食べること自体に楽しみを与えたいという想いで始動しました。
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アクアポニックス
食・バイオマス
Reduce(減らす)
水耕栽培と養殖を掛け合わせ、魚・微生物・植物の三者が生態系をつくる「循環型有機農業」のシステム。既存の農業・養殖業の生産・流通・資源循環のあり方を変え、資源の最小化、地産地消の推進、地域コミュニティの活性化に貢献しています。
Coco&K.
Coco&K.
ファッション
Reduce(減らす)
Coco&K.のバッグや小物は、フィリピンの環境問題に取り組むNGO団体「Kilus Foundation」の活動によって生まれたアップサイクル品。ジュースのアルミパックを再利用し、フィリピンの環境、雇用、教育の問題の改善につなげています。
TENTO
TENTO
建築・空間
Regenerate(再生する)Rethink(再考する)
神奈川県の最西端山北町の間伐材を活用して作られたシェアオフィスは、横浜で働くことで横浜の水源を守ることに繋げたいという想いから始まりました。森に光を入れ健康な森を維持し、大切な水源の森を維持に貢献しています。
アイカサ
アイカサ
プラスチック・包装
Reduce(減らす)
街中のカサスポットで簡単に傘を借りたり返却したりすることができる傘のシェアリングサービス。アイカサの傘は耐久性に優れ、かつ修理可能な設計となっており、使い捨て傘の廃棄量を減らすことにつながっています。
ウェブいいかも市
ウェブいいかも市
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Rethink(再考する)
サステナブル志向の地域店の美味しくて素敵な品々が月に1度楽しめる、地域の共同購入「ウェブいいかも市」。テイクアウトでは味わえないつながりを感じられる新しい地域店への応援のカタチです。
めぐる布市
めぐる布市
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寄付布を活用したアップサイクルブランド「AppliQué」が新型コロナウイルスの流行を機に、布や手芸用品のアウトレットマーケット「めぐる布市」をスタート。布の循環とアップサイクルを通じた地域コミュニティを構築しています。
ZERO PC
ZERO PC
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Rethink(再考する)
エシカルパソコン「ZERO PC」は、ピープルポートによる中古パソコンのアップサイクルプロジェクト。環境負荷ゼロを目指しながら、難民雇用や子ども支援にも力を入れて取り組んでいます。
横浜ブルーカーボン
横浜ブルーカーボン
食・バイオマス
Regenerate(再生する)
横浜市が展開する世界発の「ブルーカーボン」によるカーボン・オフセット認証事業。横浜市沿岸部の海藻などが固定した炭素をブルーカーボンとしてクレジット化して企業に販売。海洋保全や地元漁業の再生に活用しています。
横浜国立大学・川村研究室
横浜国立大学・川村研究室
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Reduce(減らす)Regenerate(再生する)
横浜国立大学院の研究グループが取り組む、コーヒー粕からセルロースナノファイバーを抽出するプロジェクト。循環型社会の実現に向けて、食品廃棄物を活用した環境配慮型素材の開発を模索しています。
環境絵日記
環境絵日記
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Rethink(再考する)
環境絵日記は、子どもたちが環境問題や環境保全について考え絵と文章を組み合わせて自由に表現する、夏休みの応募型プロジェクト。環境教育に働きかけることで新たな循環型事業を生み出しています。
NPO法人 フードバンク横浜
NPO法人 フードバンク横浜
食・バイオマス
Reduce(減らす)
規格外食品や食品ロスを引き取り、福祉施設や生活困窮者等へ無料で提供している団体。食のフードバンクであると同時に心のフードバンクでもありたいという理念のもと、横浜の地域密着型支援団体として活動しています。
横浜リユースびんプロジェクト
横浜リユースびんプロジェクト
プラスチック・包装
Reuse(再利用する)
びんの地域循環と地産地消をテーマにした、横浜の地域密着型環境保全プロジェクト。プロジェクトオリジナルのリユースびんと飲料をプロデュースし、環境問題にも地域活性化にもアプローチしています。
横横プロジェクト
横横プロジェクト
エネルギー
Rethink(再考する)
横浜市の脱炭素イニシアチブ「Zero Carbon Yokohama」の一環として、青森県横浜町の再エネを横浜市内の企業に供給する地域連携プロジェクト。みんな電力のブロックチェーン技術を活用して電力の産地証明を実現しています。
WEショップ
WEショップ
ファッション
Reuse(再利用する)
WE21ジャパンが運営する、寄付とボランティア参加をベースとしたチャリティショップ。寄付された衣類や食器類などを有料で販売し、収益は途上国支援へつなげます。市民のコミュニティスペースとしても機能中。
かながわアップサイクルコンソーシアム
かながわアップサイクルコンソーシアム
プラスチック・包装
Reduce(減らす)
石灰石を主成分とする新素材「LIMEX」の開発元、株式会社TBMと神奈川県との連携により発足した官民協働型の「かながわアップサイクルコンソーシアム」。アップサイクルを通じてサーキュラーエコノミーを推進しています。
Circular Economy Plus Tシャツ
Circular Economy Plus Tシャツ
ファッション
Reduce(減らす)
横浜市内の廃棄ペットボトルからサーキュラーTシャツの制作を目指すプロジェクト。ごみ拾いはgreenbird、Tシャツ素材は日本環境設計、デザインは横浜出身のデザイナー、印刷はゼロカーボンにより大川印刷が担当しています。
buøy
buøy
プラスチック・包装
Rethink(再考する)
海洋に廃棄されたプラスチックごみを美しい工芸品に生まれ変わらせる「buøy」。異なる素材や色のプラスチックを混ぜて成形する特殊な製造工法が特徴です。株式会社テクノラボの「Plas+tech project」から誕生しました。
ファブラボ関内
ファブラボ関内
教育
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横浜・関内にある市民のための実験工房「ファブラボ関内」。3Dプリンターやレーザーカッターなどデジタル工作機器を常備し、ワークショップなども随時開催。ものづくりを民主化するコミュニティ拠点としても活用されています。
似て非WORKS
似て非WORKS
建築・空間
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アーティストの稲吉稔氏・渡辺梓氏によるアップサイクル・アート。日常の中で見過ごされがちな消費されない「価値」や「資源」を探し出し、「そこにしかない、そこだからこそ生まれる『気付き』」を軸に活動を展開しています。
Yワイひろば
Yワイひろば
建築・空間
Rethink(再考する)
磯子区にある空き家を活用したコミュニティスペース兼シェアオフィス。1Fは地域住民向けコミュニティスペースに、2Fは地元企業のシェアオフィスに。オフグリッドの太陽光発電により災害時の避難拠点としても機能しています。
金澤八味
金澤八味
食・バイオマス
Reduce(減らす)
廃棄予定のアマモを肥料として活用し、地元農園で唐辛子などの野菜を栽培、地域発の名産品を開発。環境教育の一環として小学校とも連携。海を綺麗にし、子供を育て、経済を活性化させる循環型農業プロジェクトです。
ヨコハマ・ウッドストロー・プロジェクト
ヨコハマ・ウッドストロー・プロジェクト
プラスチック・包装
Reduce(減らす)Regenerate(再生する)
ヨコハマSDGsデザインセンターによる「木製ストロー」の普及プロジェクト。横浜市の水源となる山梨県道志村の間伐材を原料とするストローの製作には障がい者の方々が携わり、環境負荷削減だけではなく包摂的な事業モデルを実現しています。