1. 身近な廃棄物をアップサイクルし、アートに昇華
世界におけるコーヒー消費量は増加傾向にあり、日本でもコーヒーチェーン店の出店拡大とともに嗜好品として欠かせない存在となっています。しかし、抽出後のコーヒー粕はそのほとんどが再利用されずに廃棄されているのが現状です。コーヒー粕の日本画は、通常廃棄されるコーヒー粕を画材として活用し、その風合いを活かして絵画として新たな価値を生み出しています。これは、廃棄物にデザインやアイデアといった付加価値を持たせ、別の新しい製品に生まれ変わらせるアップサイクルの好例です。
2. 地域資源を活用した環境教育ワークショップを開催
一般家庭においても身近な存在であるコーヒーは、環境教育プログラムの教材としても活用が可能です。本プロジェクトはCircular Yokohamaが運営する星天qlay内 qlaytion gallery(クレイション・ギャラリー)において、同商業施設内のカフェ2店舗から提供されたコーヒー粕を用いて絵画を制作するワークショップを開催した実績があります。ワークショップでは地域のパートナー企業から材料となるコーヒー粕を調達することで廃棄物を削減し、地域内の資源循環促進に貢献することができます。また、参加者はコーヒーを買うだけでは目にすることのない、捨てられてしまう素材に価値を見出す体験ができます。
3. コーヒーを通して「ごみ」との向き合い方を学ぶ
日本のコーヒー消費量は年間約40万トン(全日本コーヒー協会調べ)とされており、抽出後のコーヒー粕は水分を含むため、乾燥させずに廃棄した場合、およそ2倍以上の重量のごみが発生すると推定されます。コーヒー粕の日本画は、1枚の絵に使用するコーヒー粕は微量ではあるものの、通常廃棄物とされるものを資源として再評価している点がユニークです。絵画を見た人がごみ問題の現状や課題に興味を持ち、コーヒー粕をはじめとした生ごみを乾燥させて再利用する、あるいはビジネスとしてアップサイクルのアイデアを検討するなどの行動変容につながれば、中長期的な視点での廃棄物削減に寄与することができます。